2024年10月30日

戦争ミュージアム

記憶の回路をつなぐ
梯久美子 著

<内容>
大久野島毒ガス資料館(広島)毒ガス製造と使用の知られざる歴史」
予科練平和記念館(茨城)大空に憧れた少年たちの「特攻」」
戦没画学生慰霊美術館 無言館(長野)遺された絵が語りかける青春の美術館」
周南市回天記念館(山口)若者を兵器として扱った「人間魚雷」の実態」
コラム 戦跡を訪ねて 土地は歴史を記憶する(太平洋戦争末期の激戦地硫黄島/民間人の悲劇が起きたサイパン島/地上戦で20万人の命が失われた沖縄/地上の国境があった島サハリン(樺太)」
対馬丸記念館(沖縄)子どもたちを乗せて沈んだ疎開船の悲劇」
象山地下壕(松代大本営地下壕・長野)本土決戦に備えて掘られた巨大な地下壕」
東京大空襲・戦災資料センター(東京都江東区)記録することで記憶をつなぎとめる」
八重山平和記念館(沖縄)知られざる戦争マラリアの実相を後世に残す」
原爆の図丸木美術館(埼玉県東松山市)絵の前に立ち、死者からの問いを受けとめる」
長崎原爆資料館(長崎)いまこそ学ぶべき核兵器の惨禍」
稚内市樺太記念館(北海道)戦争で手に入れた領土で起きたこと」
満蒙開拓平和記念館(長野県下伊那郡阿智村)「国策」がもたらした8万の死」
舞鶴引揚記念館(京都)シベリア抑留の帰還者を迎えた町」
都立第五福竜丸展示館(東京都江東区)市民が守った被ばく漁船を展示」
コラム インターネット上の戦争アーカイブ 学びを深めるためのサイト(中国新聞のヒロシマ平和メディアセンター/NHK戦争証言アーカイブス/アメリカ合衆国ホロコースト記念博物館のウェブサイト)」

<感想>
戦争をテーマとした施設のガイドだけでなく、戦没者と当時者の証言も相まって、興味深い読み物になっている。
「若者を兵器として扱った特別攻撃作戦(桜花、回天、震洋、伏龍)の実態」「戦闘のなかった八重山の島々で多くの民間人が犠牲になった戦争マラリアの実相」「樺太/サハリンの歴史」「国策として実施された満蒙開拓団苦難の歴史」「存在自体を隠蔽された軽巡洋艦・矢矧の悲劇」等々、勉強になった。
しかし、沖縄県平和記念資料館も広島平和記念資料館も知覧特攻平和会館も靖国神社遊就館も載ってない。残念だな。
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posted by ももた at 08:34| 東京 ☔| Comment(0) | ノンフィクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年10月22日

ガイドブック秩父事件

秩父事件研究顕彰協議会 編

<内容>
「@出かける前に 秩父事件とは」 「A秩父自由党のふるさと 日野沢」
「B最も早く動いた 上州日野谷」 「C困民党たつ 風布組の人々」
「D秩父困民党蜂起の地 吉田」 「E進軍の道 小鹿野・薄」
「F無政の郷 大宮郷」 「G政府の軍隊派遣 皆野・三沢」
「H軍隊との激突 野上・金屋」 「I新たな出発となった 矢久峠・山中谷」
「J最後の戦い 大日向・東馬流」 「K全国各地に見られる困民党員の足跡 再起をめざして」
「L文書は語る」 「M復権と新たな研究・顕彰をめざして」
「N秩父事件関係年表」 「Oもっと秩父事件を知りたい人に」
「Pフィールドワーク便利帳」

<感想>
秩父事件とは、1884(明治17)年、政府のデフレ政策によって生計に苦しむ秩父地方の農民たちが困民党を組織し、自由党員とともに高利貸しへの返済延長や村民税の減税などを要求して武装蜂起した事件。明治政府は警察や憲兵隊、東京鎮台と軍隊まで動員し、徹底的な武力鎮圧をした。事件後の裁判の結果、死刑8名を含む3808名が処罰されたとのこと。
よくドライブする土地にそんな歴史があったとは思いもしなかった。羊山公園も芝桜しか目に入らなかった。勉強になったな。
巻末に「秩父事件記念碑一覧」があるので、秩父や寄居町(寄居町金毘羅神社/吉田町椋神社と清泉寺/秩父市音楽寺/児玉町円通寺)へ行ったときは見逃さないようにしたい。博物館や資料館(秩父市立民俗博物館/横瀬町歴史民俗資料館/龍勢会館/吉田町立歴史民俗資料館/大滝村立歴史民俗資料館)も訪ねてみようと思う。
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posted by ももた at 08:35| 東京 ☀| Comment(0) | ノンフィクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年10月08日

ロシア敗れたり

日本を呪縛する「坂の上の雲」という過ち
鈴木荘一 著

<内容>
「はじめに」 「第1章 恐ロ病が生んだ嫌ロ感情」
「第2章 義和団事変」 「第3章 満州を占領したロシア軍の脅威」
「第4章 開戦への道」 「第5章 日露戦争の緒戦」
「第6章 海軍が旅順占領を要請」 「第7章 旅順第一回総攻撃の失敗」
「第8章 旅順第二回総攻撃」 「第9章 旅順攻略」
「第10章 遼陽会議」 「第11章 沙河会議」
「第12章 奉天会戦」 「第13章 東郷平八郎の日本海海戦」
「終章 乃木希典の自刃」 「おわりに」

<感想>
帝政ロシアが徳川幕府に開国を迫るところからスタートする。物語風に展開するので分かり易く、とても面白いと思う。
ポシェット中佐のシベリア鉄道建設計画、樺太帰属問題と千島・樺太交換条約、満州の歴史と満州馬賊、義和団事変、信用し難いロシア外交と自分の都合のみを謀るイギリス、クリミア戦争とボーア戦争、日清戦争後に中国の属国から脱却して独立国となった韓国、日露開戦への道とその戦況、南樺太と占守島の戦い(戦車第11連隊と連隊長である池田末男大佐の反撃)等々、勉強になった。
そして、アゾフ海・黒海の自由航行権とクリミア半島領有を国家の生命線とするロシアという国についてよく分かった。
しかし、読んだこともない司馬遼太郎作『坂の上の雲』の誤りや史実との食い違いの指摘は、たとえそれが本書の目的だとしてもいらないかな。
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posted by ももた at 08:46| 東京 ☔| Comment(0) | ノンフィクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
読んだ本の紹介と感想、評価を書きました。