北綾子 訳 「THE RETURN OF ELLIE BLASK」
<あらすじ>
ワシントン州の海岸沿いの町コールドウェル。この町に隣接する森のハイキングコースで、2年前に失踪した少女エリー・ブラックが発見された。
当時の捜査担当警察官チェルシーが事情聴取するが、エリーは捜査協力を拒む。彼女は何かを怖れ、意図的に何かを隠していた。
捜査が行き詰まる中、エリーが発見されたとき着ていたスウェットシャツは、5年前に行方不明になった少女ガブリエル・バーロウのものと判明する。
しかしガブリエルは、1年半前に遺体で発見されていた。絞殺だったが、事件は迷宮入りしていた。
やがて、スウェットシャツに付着していた血痕は、DNA鑑定の結果、今も行方不明になっている少女ウィラ・アダムズのものと判明する。
チェルシーは連続少女誘拐事件を解決すべく、あらゆる手がかりを必死で追うが・・・
<感想>
14歳のとき15歳の姉リディアを失った主人公の後悔と使命感、森と犬と怒りを抱いた犯人に囚われている少女たちの恐怖と緊張感、拉致被害者家族の不安などを丁寧に描き、一気に読ませる。そして真相は衝撃的だった。
チェルシーの刑事としての原点、エリーが拉致された経緯、誘拐犯の策略と生還したエリーの目的などが相まって、面白いサスペンス小説だと思う。
しかし、リディアの事件と連続少女誘拐事件の犯行動機に説得力がない。犯人の意外性もない。上手く辻褄合わせしているが、読後感はあまり良くないな。