2024年10月17日

首木の民

誉田哲也 著

<あらすじ>
自動車警ら隊の香川隆警部補が、血液の付着した他人の財布を所持していた大学の客員教授・久和秀昭を窃盗と公務執行妨害の容疑で緊急逮捕した。
久和は東大卒の元財務官僚で、内閣官房参与になるかもしれないという話が持ち上がっていた。警視庁志村署強行犯捜査係の佐久間龍平係長の取り調べに対して、「ありとあらゆる公務員を信用していない」と宣言し、一切の供述を拒む。
捜査して行くと、財布の持ち主でフリーライターの菊池創が行方不明になっていた。
DNA鑑定の結果、血液は菊池創のものと判明するが、財布に久和の指紋は付いていなかった。
そして菊池は、高校の同級生で元財務官僚の息子でもある藤木優人が9年前に起こした人身事故を調べていた・・・

<感想>
警視庁志村署強行犯捜査係をユーモアのある文章で描く、面白い警察小説だと思う。
しかし東大卒の元財務官僚が、財政再建について独自の理論を長々と展開している。興味深く面白いが経済小説ではないと思うので、経済談義は必要ないかな。
満足度 3.gif


posted by ももた at 08:30| 東京 ☀| Comment(0) | ミステリ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年09月26日

ボタニストの殺人

ワシントン・ポー・シリーズ D
M・W・クレイヴン 著
東野さやか 訳 「THE BOTANIST」
カバーイラスト 柳智之

<あらすじ>
女性差別主義者のケイン・ハントが、生放送中のトーク番組で突然倒れ、搬送先の病院で死亡した。ハントは押し花の入った脅迫状を受け取っており、毒殺だった。
一方、ポーのもとにノーサンブリア警察から電話があり、父親を銃殺した容疑で病理学者エステル・ドイルを逮捕したと告げた。ポーは直ちに現地へ駆けつける。
エステルの両手には射撃残渣があった。父親が殺害された時刻は雪が降っていて、家の外についていた唯一の足跡はエステルのものだった。
同じ頃、下院議員ハリソン・カミングスのもとに、押し花の入った第2の脅迫状が届いた。議会・外交保護チームが24時間監視態勢でカミングスを警護するが、犯人はそれをかいくぐって彼を毒殺した。
そしてボタニストを名乗る犯人は、次の殺人を仄めかし、盗聴スキャンダルで一生を棒に振った元ジャーナリストでアルコール依存症のヘニング・シュタールをパイプ役に選んだ。
ポーはブラッドショーとフリン警部に合流し、ドイルの事件と連続毒殺事件の捜査に挑む・・・

<感想>
ポーとブラッドショーとフリン警部、この3人のチームワークが好い。ユーモアのある文章とテンポの良いストーリー展開で楽しく読ませる。好奇心をそそる伏線も見事だ。
西表島のエピソード、ばね足ジャックことバーネットソンの逮捕劇、射撃残渣と雪密室の謎、連続殺人犯ボタニストの犯行動機とその手口などが相まって、凄く面白いミステリだと思う。
しかし、犯人探しの楽しみはあまりないな。
第6作目『The Mercy Chair』と第7作目『The Third Light』が待ち遠しいな。
満足度 4.gif


posted by ももた at 08:56| 東京 ☁| Comment(0) | ミステリ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年09月13日

犬は知っている

大倉崇裕 著
装画 伊藤彰剛

<内容>
癒しのファシリティードッグとして訓練を受けた7歳の雄のゴールデンレトリーバー、ピーボとハンドラーの笠門達也巡査部長は、警察病院の小児病棟に出勤している。
しかし本業は、特別病棟に入院中の犯罪者と接し、彼らが秘匿している情報を聞き出していた・・・

「第1話 犬に囁く」「第2話 犬は知っている」「第3話 犬が寄り添う」「第4話 犬が見つける」「最終話 犬はともだち」を収録した警察小説。

<感想>
ファシリティードッグとは、病院で患者に寄り添い、恐怖や苦痛といった精神面の負担を和らげる為に働いている犬の事。ハンドラーの仇敵でさえも籠絡する。
そのピーボとハンドラーがコンビを組み、真犯人にプレッシャーをかけて、事件を解決して行く。1話完結の短編集になっており、すんなり読めて楽しいミステリだと思う。
櫛木理宇作「捜査一課強行犯係・鳥越恭一郎シリーズ」では鴉が相棒だった。本作もシリーズ化するのかな。
満足度 3.gif


posted by ももた at 08:39| 東京 ☀| Comment(0) | ミステリ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
読んだ本の紹介と感想、評価を書きました。