2024年04月09日

君たちはどう生きるか

原作・脚本・監督 宮崎駿

<あらすじ>
11歳の少年眞人(まひと)の父は、鷺沼と言う田舎で戦闘機などを造る工場を経営している。戦争の3年目に、母が病院の火事で死んだ。4年目に、父が母の妹の夏子と結婚することになった。
眞人と父は東京を離れて、夏子の家である御殿のような青鷺屋敷に引っ越した。広い庭には大きな池と、祖母の大伯父が建てたという古い塔があった。
都会っ子の眞人は新しい学校に馴染めず、自分で自分を傷つけてしまう。亡き母が眞人のために残してくれた本、吉野源三郎作『君たちはどう生きるか』を見つけ、夢中で読む。
そんな中、悪阻で苦しむ夏子がいなくなった。眞人は彼女が森の方へ行くのを見ていた。古い石畳の道を見つけ、辿って行くと、古い塔の下に出た。すると、青サギと人間の姿を行き来するサギ男が待ち構えていた。眞人はサギ男に案内されて、不思議な世界へ入っていく・・・

<感想>
アカデミー賞受賞の同名アニメ映画は、何回も観ないと理解できないと聞いた。そこで子供向けの絵本を読んでみた。
物語の背景は第二次世界大戦中の日本。青鷺屋敷に住み込みで働いている8人の老婆、巨大な箱船に住んでいる女漁師キリコ、火を操る少女ヒミなど魅力的なキャラクターと、生まれる前の魂ワラワラ、そのワラワラを食うペリカン一族、インコ大王とインコたちなどユニークな生き物が多彩に登場し、魔訶不思議な世界が広がっている。
少年の成長と冒険を描く、とても面白いファンタジーだと思う。アニメ映画も観たくなったな。
満足度 4.gif


posted by ももた at 08:31| 東京 ☔| Comment(0) | 児童書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年02月07日

のら犬物語

戸川幸夫 著
カバーイラスト 石田武雄
解説/父と犬(戸川幸夫氏長女・森内文)

<あらすじ>
東京の山の手にある大山邸の飼い犬、雑種犬のクロが春に家の縁の下で、8匹の赤ちゃんを産んだ。大山邸には沢山の人がいたが、クロを可愛がっているのは山形出身のお手伝いだけだった。
1ヶ月後、子犬たちはダンボールに入れられ、家から離れた草むらに捨てられた。
8匹の子犬のうち、たった1匹だけ白と黒のまだら毛の子犬がいた。
ダンボールから出て迷子になっていたところ、屑屋のお爺さんに拾われた。まだら毛の子犬は「マル」と名付けられ、すくすくと育つ。
ところが秋も終わりに近いある夜、お爺さんの家から出火して、付近一面が焼け野原になった。マルは焼け跡でしょんぼりと蹲り、お爺さん一家を待ち続けたが、保健所の野犬狩りに捕まってしまう・・・

<感想>
多くの危機を乗り越え、逞しく成長していく野良犬マルを描く、感動的な児童書だと思う。犬の気持ちと仕草の意味や生態、人に飼われていた犬が路上で暮らすことの大変さも良く分かった。
可愛い子犬を捨てる人の気持ちが分からないな。犬を飼うときはペットショップではなく、保護施設から引き取るようにすれば殺処分が減少すると思う。
満足度 3.gif


posted by ももた at 09:00| 東京 ☀| Comment(0) | 児童書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年01月30日

呪いを解く者

英国SF協会賞YA部門受賞
フランシス・ハーディング 著
児玉敦子 訳 「UNRAVELLER」
装画 牧野千穂

<あらすじ>
ラディス国は、〈政務庁〉と言われる大商人たちによる政府に統治されている。不思議な力を持つ生き物が棲息する〈原野(ワイルズ)〉と戦ってきたが、和平を結んだ。
しかし、クモに似た〈小さな仲間〉たちがもたらす呪いは、人々に大きな影響を与えていた。
呪いを解く力を持つ15歳の少年ケレンは、呪いをかけた人物〈呪い人〉と、呪いを紡いだ理由を見つけて、呪いの糸を解いて取り除く〈ほどき屋〉をしている。
相棒は、継母の呪いによって鳥に変えられていた15歳の少女ネトル。人間に戻ることを拒絶してカモメのままでいる兄ヤニックとネトルは、固い絆で結ばれている。
そしてヤニックは、呪いから救い出された者たちのネットワーク〈復活者会〉の伝言サービスを請け負っていた。
〈復活者会〉の基地はタンジーの食堂。彼女はケレンが最初に〈ほどき屋〉の仕事をした復活者だ。
ケレンとネトルはこれまで、16人の〈呪い人〉を刑務所に送り込んでいた。
ところが、そのうちのひとり、ジェンディ・ピンが鋳掛屋を身代わりにして脱獄した。そして〈呪いの卵(まだ解放されていない呪い)〉を抱えている者は、〈救済団〉と呼ばれる秘密結社に駆け込んでいるらしい。何者かが呪い人の陰謀団を作ろうとしていると言う。
ケレンとネトルは、手掛かりを求めて深原野へと分け入っていく・・・

<感想>
ケレンたちは呪いに悩む人々の依頼を解決し、様々な謎を解きながら冒険の旅を続ける。
〈ほどき屋〉の仕事は、呪いの背景、人間の自分勝手な考え、妬みや憎しみ、弱さと自責の念などを浮き彫りにして行く。謎解きミステリみたいで面白い。
そして呪いを贈る〈小さな仲間〉、片目を捧げた人間に忠誠を誓う〈沼の馬〉と沼の馬人、人の魂を盗む〈踊り星〉、半人間のカモメ少年とコウモリ女など、不思議な生き物が多彩に登場する。
生まれつきの性質で責められるのはおかしい。何事も見かけ通りではない。人間の心は複雑だ。物事は単純ではないと教えられる。示唆に富んだ奥の深いストーリーになっているな。
知らないうちに呪いをかけられていた〈ほどき屋〉の少年と、復活者にして呪い人でもある少女の成長と冒険を描く、不気味でとても面白い異世界ファンタジーだと思う。
満足度 5.gif


posted by ももた at 08:33| 東京 ☀| Comment(0) | 児童書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
読んだ本の紹介と感想、評価を書きました。