2024年11月01日

オパールの炎

桐野夏生 著
装画 スズキエイミ

<あらすじ>
1970年代、過激な抗議行動で世間を騒がせた女性解放運動組織「ピル解禁同盟」略して「ピ解同」には、「女の泣き寝入りを許さない会」と言う活動グループがあった。
リーダーは京大薬学部出身でロシア語も堪能な、昭和20年生まれの塙玲以子。彼女はマスコミを使うのが天才的に上手く、ピンクのヘルメットで女性の自立を謳っていた。
ところが参議院選挙惨敗後、表舞台から忽然と姿を消した。30年前の週刊誌の記事を最後に行方不明だったが、孤独死していた・・・

<感想>
「中ピ連」代表の榎美沙子をモデルとした小説とのこと。
ノンフィクションライターによる、塙玲以子を知る人たちのインタビュー形式になっており、読み進むうち人権意識と法的整備が脆弱な社会が見えてくる。そんな時代の女性解放運動家を描く、良書だと思う。
しかし、それ以上でも以下でもないな。少し期待外れかな。
満足度 2.gif


posted by ももた at 08:39| 東京 ☀| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年09月06日

夢をかなえるゾウ

「夢をかなえるゾウ」シリーズ @
水野敬也 著
装画 矢野信一郎

<あらすじ>
お金持ちになりたい、成功したい、有名になりたい。夢を叶えたいが、今のままじゃダメだ。それは分かっているから、何度も変わろうと決心して、挫折してきた。そんなダメダメ男性会社員のもとに、ある日、インドの神様ガネーシャが突然現れた。
ガネーシャは何故か関西弁で「お前なあ、このままやと2000%成功でけへんで。」と言い、ニュートン、エジソン、ナポレオン、ジョン・ロックフェラー、最近ではビル・ゲイツ等々、歴史上のキーパーソンは自分が育ててきたと話す。
胡散臭い奴と思いつつも僕は、ガネーシャの教えに従う契約書にサインした。
しかしガネーシャの課題は、「靴を磨く」とか「募金する」とか「腹八分」など、地味なものばかりだった・・・

<感想>
知名度も評価も高いので読んでみた。
ガネーシャは禁煙もダイエットもできない、ぐうたらで自分勝手な神様。主人公はそんな神様が出す課題を懸命にやる。成功者たちの教訓めいたエピソードも散りばめ、愉快な展開だ。簡素な文章なので読み易い。
どうやら人生成功の秘訣は、他人のアドバイスを聞き、実行して継続することらしい。そして、決めたことを続けるための環境を作り、頑張れた自分を褒める。自分の時間を自分でコントロールする。人生を楽しめたら、どんなトラブルや悩みにも立ち向かえる。感謝を忘れずにユーモアも体感することも人を愛することも大事なのだ。
評判通りの、楽しい自己啓発小説だと思う。
満足度 3.gif


posted by ももた at 08:34| 東京 ☁| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年08月30日

風に立つ

柚月裕子 著
装画 安藤巨樹

<あらすじ>
岩手県盛岡市にある「清嘉」は、72歳の親方・小原孝雄、その息子で38歳独身の職人・悟、間もなく還暦の職人・林健司と、研磨専門のアルバイトひとりで回している、南部鉄器工房だ。工房と同じ敷地に、南部鉄器を販売する店と小原家の住まいがある。母が病死して、妹の由美が嫁ぎ、悟と孝雄はふたりで暮らしている。
ある日、仕事一筋で頑固な父・孝雄が勝手に、家庭裁判所の補導委託制度(問題を起こして家庭裁判所に送られてきた少年を一定期間預かる制度)の委託先として登録申し出をした。決して良い親とは言えなかった父の思いもよらない行動に、悟は戸惑う。
1か月後、「清嘉」で預かる16歳の少年・庄司春斗とその両親が、小原家にやって来た。納得のいかない悟は、できる限り関わらないと決めていたが、春斗は想像していたような非行少年ではなかった。一緒に暮らしていくうち、少年に立ち直って欲しいと思うようになる・・・

<感想>
善人のうえ、問題を抱えている少年に理解のある人ばかり登場する。思いやりの心が溢れているから、読後感がとても良い。
そして、応援者と味方の違いに気づかされた。非行少年の更生をテーマにした、感動的な長編小説だと思う。
満足度 3.gif


posted by ももた at 08:31| 東京 ☔| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
読んだ本の紹介と感想、評価を書きました。