樋口明雄 著
カバーイラスト つがおか一孝
<あらすじ>
魔の山と呼ばれる谷川岳でも屈指の難関ルート、一ノ倉沢の衝立岩中央陵で2人の登山者が登攀中に滑落し、田村柾行が墜死した。救助された川越伸彦は、バディの田村が自分でザイルを切ったと証言し、山岳事故として処理された。
その後、伸彦のもとに、望遠ズームで撮影した脅迫写真5枚が送られてきた。写真の裏には、銀行口座と振込金額と支払期限が記されていた。
一方、南アルプス山岳救助隊では、新人研修が行なわれていた。南アルプス署交通課の警察官でもある新人候補生・桐原健也は、体力と持久力もあって楽々と訓練をこなすが、独断専行が過ぎて協調性に欠け、人格的に問題があった。江草隊長の鶴の一声で桐原の入隊が決まると、隊員たちは彼の言動に戸惑う。
そして、柾行のたったひとりの肉親である妹・透子は、伸彦の言動に不審を抱いていた・・・
<感想>
主人公は、山岳救助犬メイのハンドラーで救助隊員の星野夏実。山岳救助隊の活動を描いており、山岳事故と計画的な殺人、妹の復讐劇、独りでテントに置き去りにされた8歳の少年のエピソードなどが相まって、とても面白い山岳小説だと思う。
そして最後には新人隊員・桐原健也が大活躍する。続編が楽しみだな。
【関連する記事】