鈴木荘一 著
<内容>
「はじめに」 「第1章 恐ロ病が生んだ嫌ロ感情」
「第2章 義和団事変」 「第3章 満州を占領したロシア軍の脅威」
「第4章 開戦への道」 「第5章 日露戦争の緒戦」
「第6章 海軍が旅順占領を要請」 「第7章 旅順第一回総攻撃の失敗」
「第8章 旅順第二回総攻撃」 「第9章 旅順攻略」
「第10章 遼陽会議」 「第11章 沙河会議」
「第12章 奉天会戦」 「第13章 東郷平八郎の日本海海戦」
「終章 乃木希典の自刃」 「おわりに」
<感想>
帝政ロシアが徳川幕府に開国を迫るところからスタートする。物語風に展開するので分かり易く、とても面白いと思う。
ポシェット中佐のシベリア鉄道建設計画、樺太帰属問題と千島・樺太交換条約、満州の歴史と満州馬賊、義和団事変、信用し難いロシア外交と自分の都合のみを謀るイギリス、クリミア戦争とボーア戦争、日清戦争後に中国の属国から脱却して独立国となった韓国、日露開戦への道とその戦況、南樺太と占守島の戦い(戦車第11連隊と連隊長である池田末男大佐の反撃)等々、勉強になった。
そして、アゾフ海・黒海の自由航行権とクリミア半島領有を国家の生命線とするロシアという国についてよく分かった。
しかし、読んだこともない司馬遼太郎作『坂の上の雲』の誤りや史実との食い違いの指摘は、たとえそれが本書の目的だとしてもいらないかな。