梯久美子 著
カバーイラスト やなせたかし
<内容>
「アンパンマン」の生みの親で、たったひとりの弟・柳瀬千尋海軍少尉をパーシー海峡で喪った漫画家やなせたかし(1919年2月6日〜2013年10月13日)の伝記。
「第1章 両親との別れ」 「第2章 あたらしい出発」
「第3章 あこがれの道へ」 「第4章 兵隊になる」
「第5章 戦場へいく」 「第6章 ほんとうの正義」
「第7章 もう一度、東京へ」 「第8章 アンパンマンの誕生」
「第9章 勇気の花がひらくとき」
<感想>
章毎に挿入されている詩が素敵だ。心が和む。癒されるな。
命令されるのが嫌いで、団体行動が苦手な柳瀬嵩氏は、東京高等工芸学校(後の千葉大学工学部)の図案科で、絵の基礎をしっかり学んでいた。
そして、2度も命拾いしていた。ついてないと思っても、後で幸運だったと分かる。人の運命は解らないものだと教えられた。
また、5年に及ぶ軍隊生活、海軍特攻隊に志願した弟のこと、アンパンマンに込められた作者の思いと信念など、勉強になった。
「本当の正義とは、飢えている人を助けること」「弱い者が勇気を出した時、本当のヒーローになれる」など、心に沁みる言葉も散りばめられており、気が付けば感動していた。詩集『愛する歌』も読んでみたいと思う。