(バラード&ボッシュ物 B)
マイクル・コナリー 著
古沢嘉通 訳 「THE DARK HOURS」
<あらすじ>
2020年12月、ロサンジェルス。ハリウッド分署深夜勤務担当刑事レイネ・バラードは、感謝祭の夜とクリスマス・イブに発生した自宅侵入レイプ事件を解決すべく、2人組の連続暴行犯(ミッドナイト・メン)を追っていた。
大晦日恒例のロス市警署員総動員での警戒体制の一環として、高架交差路の下で待機していたとき、発砲事件が発生する。
事件現場は、新年を祝うパーティーが行なわれていた自動車修理店のレッカー車置き場。参加者の一部が年越しのカウントダウンの後で銃を空に向かって撃ったタイミングに合わせて、オーナーであるハビエル・ラファが後頭部を至近距離から射撃されて死んだ。ラファは大金を払って足を洗った元ギャングだった。
殺害に使用された薬莢を調べたところ、10年前の未解決事件で同じ銃が使われていた。ロス市警本部の強盗殺人課が担当した事件であり、捜査責任者は現役時代のハリー・ボッシュだった。バラードは、またしてもボッシュと関わることになる。
一方、ミッドナイト・メンも同夜に3件目の自宅侵入レイプ事件を起こしていた。バラードはボッシュの協力を得て、両方の事件を追うが・・・
<感想>
ブラック・ライヴズ・マター運動(黒人の命を軽視するな)の逆風とコロナ禍を背景に、ボスとの内部抗争に敗れて夜勤に追放された刑事レイネ・バラードの奮闘を描いており、凄く面白い警察小説だと思う。
射殺事件が多重殺人事件へ発展して行き、バラードは容疑者の身元を突き止めたものの、捜査から外される。そして自宅侵入レイプ事件では同僚に足を引っ張られ、バラードは窮地に追い込まれる。ボッシュはサポートするだけだった。
ボッシュはある事件で被爆して、12年後に白血病になった。薬を服用して進行を食い止めている。本文中、このことについて2度も触れていて気になった。訳者あとがきによれば、次作『Desert Star』は本書の直接の続編で、衝撃的な内容らしい。待ち遠しくてならない。

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