2023年01月18日

犬を盗む

佐藤青南 著
装画 伊藤彰剛

<あらすじ>
東京都世田谷区の高級住宅地で、独り暮らしの老女・木戸タカ子が殺害された。
被害者自ら家に招き入れたと思われる犯人は、財布から現金を抜き出し、通帳やキャッシュカードを持ち去っていた。家のあちこちに飼い犬の痕跡があるが、被害者の愛犬は1年前に死んでいた。被害者の家は世田谷区に多くの不動産を所有する資産家一族の本家だったが、気難しい性格のタカ子は夫が死んでから親族と疎遠になっており、近隣住民との交流もなかった。
犬嫌いの刑事・植村光太郎とその相棒である青年刑事・下山正大は、顔見知りの犯行と睨み、犬を媒介にした友人関係を洗う。
捜査を進めると、愛犬を亡くした木戸タカ子は、多頭飼育崩壊した男から先代犬と同じ犬種のチワワを盗んでいた。
一方、借金取りに追われているフリーライター・鶴崎猛は、スクープをモノにするためコンビニで深夜勤務のアルバイトを始めた。
同じシフトで働く松本博巳は、未成年のとき両親と飼い犬を金属バットで殴り殺した周防彰史だった。
独占インタビューを取りたい鶴崎は、彼が保護所からチワワを引き取りシロと名付けて飼い始めたと知り、強引に犬の散歩を買って出る。そしてトイプードルを飼っているミステリ作家の小野寺真希と出会い、シロの飼い主が松本だと教えた。
真希はシロに見覚えがあり、飼い主も知っていた。シロは盗まれた犬だと確信し、彼らのバイト先であるコンビニへ行くと、周防彰史が松本と名前を変えて働いていた。義憤に駆られた真希は、インターネットの日本猟奇事件マップの掲示板に「周防が都内のコンビニで働いているのを見た」と投稿してしまう。
しかし鶴崎は、4か月近く潜入調査をしていくうち、周防彰史は無実ではないかと思い始めていた・・・

<感想>
資産家老女殺人事件が放火事件へ発展して行く。
愛犬家と人間の多面性を描いており、多頭飼育崩壊と保護犬、16年前の金属バット殴殺事件の真実、真犯人の意外性などが相まって、とても面白いミステリだと思う。
そして、因果応報という言葉がぴったりな決着だと思った。
満足度 3.gif



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posted by ももた at 09:44| 東京 ☁| Comment(0) | ミステリ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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