2022年10月03日

ペンギンの憂鬱

アンドレイ・クルコフ 著
沼野恭子 訳
カバーイラスト Junzo Terada

<あらすじ>
1990年代、ソ連崩壊後の新生国家ウクライナの首都キエフ。
売れない小説家ヴィクトルは、恋人が出ていって孤独だった。1週間後、エサをろくにやれなくなった動物園から皇帝ペンギンを貰ってきた。1年後の秋には、いつも哀しげにしているペンギンのミーシャとヴィクトルは、友情というより互いを頼り合う感じになっていた。
そうした中ヴィクトルは、新聞社から依頼された極秘の仕事を生活のために引き受ける。それは、まだ生きている大物政治家や財界人や軍人たちの追悼記事〈十字架〉を書いて、カード目録にしていく任務だった。ヴィクトルは取材を重ね、新聞社の刑法担当者から個人情報の提供を得て追悼文を書き、定期的に編集長に提出していく。
11月の夜、編集長の紹介でミーシャと名乗る男がやって来て、追悼文を依頼する。そのうち地方に住む人の追悼記事も書くことになり、友達のいないヴィクトルはミーシャの世話を警官のセルゲイに頼み、ハリコフに赴く。
ところが、情報を提供してくれる約束の特派員は、自宅で何者かに射殺された。ショックを受けたヴィクトルは、極秘任務のことをペンギンではないミーシャに話してしまう。すると彼は、追悼文を書いて欲しい人の履歴書類をヴィクトルに渡した。その直後、作家で議員のヤコルニツキーが6階の窓から転落死した。そして、ヴィクトルの追悼記事が初めて新聞に掲載された。
やがて、追悼記事をあらかじめ書いておいた大物たちが次々と死んで行き、ヴィクトルの身辺にも不穏な影がちらつく・・・

<感想>
驚くべきゲームに誘われたヴィクトルは、特別なことが経験できるような気がして、期待に胸が膨らむ。それが現実となり、身辺の出来事を理解しようと思えばその機会はあったのに、無関心でいたため、抗いようのないトラブルに巻き込まれていく。
話が進むに連れ、ミステリアスな展開になって行き、孤独なヴィクトルと憂鬱症のペンギンと4歳の少女ソーニャの共同生活、ウクライナの風土や当時の社会情勢、老いたペンギン学者やヴィクトルの祖母の話などが相まって、とても面白い長編小説だと思う。
続編『カタツムリの法則』も読んでみたいな。
満足度 4.gif



人気ブログランキング
『大統領の最後の恋』 『ウクライナ日記 国民的作家が綴った祖国激動の155日』
   


人気ブログランキング
posted by ももた at 09:10| 東京 ☁| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

読んだ本の紹介と感想、評価を書きました。