<あらすじ>
2年前に中堅製薬会社を辞め、退職金と親の脛を齧りながら気楽に気ままな探偵稼業をしている43歳の空木健介は、元同僚の菊永昭と鷹ノ巣山(標高1,737m)登山へ出かけ、石尾根下山ルートで男の転落遺体を発見した。
転落者は、世田谷区在住の製薬会社社員・横山忠35歳。空木と菊永は山頂で、単独登山だった横山が男と一緒に食事しているのを目撃していた。
奥多摩警察署は、「主人は知り合いと2人で雲取山へ行くと言っていた」という妻・晴美の証言、横山忠のスマートフォンが消えていたことなどから事件性が高いと判断する。
空木の高校時代の同級生で酒飲み友達でもある石山田巌刑事が捜査を進めると、登山届に他人の名前を騙った者がいた。名前を使われたのは、空木の探偵事務所兼自宅のある国立に住む製薬会社社員・小谷原幸男。
空木と小谷原は、会社は違ったが共に山好きなことから親しくなり、酒を飲む友人となっていた。空木は小谷原と晴美の調査依頼を受け、偽名を使った人間と横山の同行者の特定という探偵の仕事に乗り出す。
そうした中、鋸山(標高1,109m)付近で興信所の調査員・赤城太の他殺体が見つかる。空木と石山田は協力して事件の真相を追うが・・・
<感想>
事件現場は鷹ノ巣山と鋸山。空木は伊吹山(標高1,377m)にも登っている。調査を進めると、人と人の思わぬ繋がりや因縁が浮上し、最後の舞台となるのは上高地だった。
登山と飲ん兵衛のエピソードで楽しく読ませ、読後感の良い山岳ミステリだと思う。
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