(ジミー・ペレス警部シリーズ B)
アン・クリーヴス 著
玉木亨 訳 「Cold Earth」
カバーイラスト 松田真由美
<あらすじ>
イギリスのシェトランド本島レイヴンズウイック。人生の殆んどを隠遁者として過ごしたマグナス・テイト老人が病死した。
マグナスの葬式の最中、墓地や周辺の農場を巻き込む大きな地滑りが発生し、土石流が短期契約で貸し出していた農家トーインを直撃した。最後の借家人が出ていった後は空き家になっていた。
ところが、異国風の赤いドレスを着た身元不明の女性の遺体が見つかる。検死の結果、絞殺だった。廃墟と化した現場でジミー・ペレス警部の部下サンディ・ウィルソンが、猫の死骸と写真とアリスという女性宛ての手紙を見つけるも、遺体の身元は特定できなかった。
ペレス警部は、本土の上級捜査官ウィロー・リーヴズと犯行現場検査官ヴィッキー・ヒューイットに捜査協力を要請する。
やがて殺された女性は、トーインの所有者に成り済ましていた女優アリソン・ティールと判明する。彼女は15年前、失踪騒ぎを起こしてシェトランドに雲隠れしていた。
評議会議員で弁護士でもあるトム・ロジャーソンとの繋がりが浮かび、事情聴取しようとしたところ、トムはトーインの下の浜辺で他殺体となって発見された。
ペレス警部は、二重殺人の現場近くの住人ヘイ一家に秘密があると睨み、捜査の焦点を絞るが・・・
<感想>
ペレス警部は、亡き婚約者フランの娘と彼女の家に住み、至る所で思わぬ繋がりが見つかる知人たちが関係する二重殺人の捜査をしつつ、上司であるウィローとの恋愛関係で頭を悩ませている。
警察の地道な捜査を丁寧に描いており、自然災害による大混乱と精神的な影響、シェトランドの風土とそこで暮らす人々のドラマなどが相俟って、味わい深くとても面白い。凄く読み応えのある本格ミステリだと思う。シリーズ最終作となる次作『Wild Fire』が待ち遠しくてならない。
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