装画 チカツタケオ
<あらすじ>
8月5日夏休みの午後。2歳違いの小学生の姉妹万佑子と結衣子は、大滝神社の裏山でシェルター作りをして遊んでいた。少しして友達が遊びの輪に加わり、病弱な姉は先に帰った。
1時間後、結衣子が帰宅したところ、姉は戻っていなかった。母は直ちに近所を捜索する。地域住民も捜索に加わるが、姉は見つからない。
母は、誘拐を疑った祖母に叱責されて、警察に通報する。姉の麦わら帽子の発見や目撃情報はあるが、万佑子の発見には至らない。警察は公開捜査に踏み切った。
しかし、杳として姉の消息が分からない。近年、隣の県では女子の拉致監禁事件が起きていた。母は独自に調査を始める。小学1年生の結衣子も、飼い猫を捜す振りをして一軒一軒訪ね歩いた。
それから2年後、ある日突然、万佑子は記憶を失った状態で発見される。DNA鑑定により親子関係は証明された。だが、結衣子は、戻ってきた姉を別人としか思えなかった。その気持ちはいつまでも燻り続け・・・
<感想>
好奇心に駆られて一気に読破した。小学生誘拐事件を描いた面白いミステリだと思う。
被害者家族に焦点を当て、母性と姉妹の絆を見事な筆致で描いており、諦めきれない執念を感じる。その行動に感動した。一捻りしてある結末も素晴らしいと思う。
しかし、小学生の成りすましに違和感を持つ。愛する者の記憶があやふやになるには、2年と言う年月は短すぎる。両親が事件の真相を秘密にする理由が分からない。何故、大人は見抜けないのだろう。頭に疑問符が残る作品だった。

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通りすがりですが、ちょうどこの本を読んだので
他の人はどのような感想を持つのかと検索してたどり着きました。
私は、姉が帰ってくる前に祖母の家に預けられた時点で
取違を行った家族と話し合いを持ち
父と母だけがその時点で真実を知っていたんだと感じました。
おそらく混乱を避けようと祖父母や妹には秘密にしようと思ったのでは無いでしょうか?
最終的にそれが悲劇だった気がしますが。