2013年09月01日

海に降る

朱野帰子 著
カバーイラスト 塩田雅紀    
<あらすじ>
海洋工学センター運航管理部の天谷深雪は、父が開発に携わった世界一の潜水能力を誇る国産の有人潜水調査船「しんかい6500」に乗るのが夢だった。
明日行われる5回目の訓練潜航が無事終われば、訓練生からコパイロットへ昇格し、本番の調査潜航にも臨むことができるようになる。
そんなとき、小学生の異母弟北里陽生が訪ねてきて「パパはもう、アメリカから日本に帰ってこない」と告げた。深雪は激しく動揺する。しかも、不登校の陽生を預かる羽目になる。
深雪は翌日の訓練潜航の最中に閉所恐怖症を発症する。そして、「しんかい6500」運航チームのリーダーで上司の多岐指令から、事業推進部広報課の高峰浩二と組んで仕事をしろと命じられた。
高峰は「しんかい6500」で深海に行くために転職したと公言している。父親は深海生物学者だった。
「しんかい6500」に乗りたい、深海に潜りたいという共通の夢を持つふたりは、横浜研究所での定例イベントを担当することになり・・・

<感想>
地球最後の秘境、極限環境の深海を調査する国の機関、独立行政法人海洋研究開発機構の仕事内容を紹介した感動的な小説だと思う。
しかし、幼い頃から追い続けてきた夢があと少しで叶うところで挫折して広報の仕事に携わる主人公、自衛隊と海洋研究開発機構はどちらも国家機関であり、物語を通じて国民の理解を得ようとするところが『空飛ぶ広報室』と似ている。
安易だなぁと思いつつ読み始めたが、これが意外に面白い。知らぜらる世界に引き込まれてしまう。
そして、海面下200m以深からが深海だと言う定義や底棲生物の生態系など、勉強になることが盛り沢山である。なによりロマンがあり、夢の実現のために努力する人々の話は感銘を受ける。読後感のとても良い小説だと思う。
満足度 5.gif



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posted by ももた at 02:08| 東京 ☀| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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