アンドリュー・クラヴァン 著
羽田詩津子 訳 「WHEN CHRISTMAS COMES」
<あらすじ>
アメリカ陸軍基地の現役軍人や退役軍人が大勢住む湖畔の小さな町スイート・ヘヴン。
雪に覆われたクリスマス間近のある夜、小学校の若い司書ジェニファー・ディーンが殺害された。彼女は新参者だったが、町民から愛されていた。
逮捕されたのは、ブレイク家の3代目のアーミー・レンジャーで、ジェニファーと交際していたシングルファザーのトラヴィス。彼の自宅から血痕が見つかり、防犯カメラの映像に遺体を運ぶ姿が残されていた。
トラヴィスは犯行を認め、遺体を湖に捨てたと自供したが、国選弁護人のヴィクトリア・グロスバーガーは違和感を覚える。そんなとき、学生時代に社会のルールに背く情熱的な関係だった「一風変わった思考の習慣」を持つ英文学の大学教授キャメロン・ウィンターが、湖水地方の誘拐事件を解決した記事を読み、ヴィクトリアは彼の力を借りることにした。
元海軍特殊部隊員のウィンターはスイート・ヘヴンに赴き、全ての証拠がトラヴィスの有罪を示している事件の真相を探るべく聞き込みを始めるが・・・
<感想>
主人公のキャメロン・ウィンターは30代半ばの知的なイケメン。67歳のサイコセラピストでさえ魅了される。
謎に直面すると起こる「一風変わった思考の習慣」とは、他人の思考に入り込み、想像力によって事実を補いながら事件の真相を解明する特殊能力のこと。
哀れな金持ちの少年だったウィンターの恋、クリスマスの幸せな家族に隠されていた裏切りの物語、ウィンターの孤独と渇望と憂鬱の源、トラヴィスを毒してきた苦しみとその妹の心を蝕む闇、ジェニファーの秘密と正体、驚愕の真相と感動的な結末などが相まって、凄く面白いミステリだと思う。本作はシリーズ化している。続編が楽しみだな。
<キャメロン・ウィンター・シリーズ作品リスト>
@『聖夜の嘘』 A『A Strange Habit of Mind』
B『The House of Love and Death』 C『A Woman Underground』
@『聖夜の嘘』 A『A Strange Habit of Mind』
B『The House of Love and Death』 C『A Woman Underground』