M・W・クレイヴン 著
東野さやか 訳 「THE BOTANIST」
カバーイラスト 柳智之
<あらすじ>
女性差別主義者のケイン・ハントが、生放送中のトーク番組で突然倒れ、搬送先の病院で死亡した。ハントは押し花の入った脅迫状を受け取っており、毒殺だった。
一方、ポーのもとにノーサンブリア警察から電話があり、父親を銃殺した容疑で病理学者エステル・ドイルを逮捕したと告げた。ポーは直ちに現地へ駆けつける。
エステルの両手には射撃残渣があった。父親が殺害された時刻は雪が降っていて、家の外についていた唯一の足跡はエステルのものだった。
同じ頃、下院議員ハリソン・カミングスのもとに、押し花の入った第2の脅迫状が届いた。議会・外交保護チームが24時間監視態勢でカミングスを警護するが、犯人はそれをかいくぐって彼を毒殺した。
そしてボタニストを名乗る犯人は、次の殺人を仄めかし、盗聴スキャンダルで一生を棒に振った元ジャーナリストでアルコール依存症のヘニング・シュタールをパイプ役に選んだ。
ポーはブラッドショーとフリン警部に合流し、ドイルの事件と連続毒殺事件の捜査に挑む・・・
<感想>
ポーとブラッドショーとフリン警部、この3人のチームワークが好い。ユーモアのある文章とテンポの良いストーリー展開で楽しく読ませる。好奇心をそそる伏線も見事だ。
西表島のエピソード、ばね足ジャックことバーネットソンの逮捕劇、射撃残渣と雪密室の謎、連続殺人犯ボタニストの犯行動機とその手口などが相まって、凄く面白いミステリだと思う。
しかし、犯人探しの楽しみはあまりないな。
第6作目『The Mercy Chair』と第7作目『The Third Light』が待ち遠しいな。