2024年08月30日

風に立つ

柚月裕子 著
装画 安藤巨樹

<あらすじ>
岩手県盛岡市にある「清嘉」は、72歳の親方・小原孝雄、その息子で38歳独身の職人・悟、間もなく還暦の職人・林健司と、研磨専門のアルバイトひとりで回している、南部鉄器工房だ。工房と同じ敷地に、南部鉄器を販売する店と小原家の住まいがある。母が病死して、妹の由美が嫁ぎ、悟と孝雄はふたりで暮らしている。
ある日、仕事一筋で頑固な父・孝雄が勝手に、家庭裁判所の補導委託制度(問題を起こして家庭裁判所に送られてきた少年を一定期間預かる制度)の委託先として登録申し出をした。決して良い親とは言えなかった父の思いもよらない行動に、悟は戸惑う。
1か月後、「清嘉」で預かる16歳の少年・庄司春斗とその両親が、小原家にやって来た。納得のいかない悟は、できる限り関わらないと決めていたが、春斗は想像していたような非行少年ではなかった。一緒に暮らしていくうち、少年に立ち直って欲しいと思うようになる・・・

<感想>
善人のうえ、問題を抱えている少年に理解のある人ばかり登場する。思いやりの心が溢れているから、読後感がとても良い。
そして、応援者と味方の違いに気づかされた。非行少年の更生をテーマにした、感動的な長編小説だと思う。
満足度 3.gif


posted by ももた at 08:31| 東京 ☔| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年08月28日

令和の米騒動



始めは米の値段が上がってきたな、売り場面積も狭くなってきたなと感じる程度だった。それが一家族一袋までになり、あっと言う間に売り場から米が消えた。
地震と台風の影響と高を括っていたが、毎日弁当持参なので米がないと困る。それであちこち回ってみるも、手に入らない。
「これじゃあ、令和の米騒動だ」と話していたら、本当にそうだったんですね。
仕方なく夕飯を玄米や麵類に切り替えた。朝食と弁当には胚芽押麦を混ぜたが、新米が市場に出る前に底をつく。その後どうしよう。パンや麵類は論外だと言うし、頭が痛いな。

posted by ももた at 08:34| 東京 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年08月27日

恐怖を失った男

ベン・ケーニング・シリーズ @
M・W・クレイヴン 著
山中朝晶 訳 「FEARLESS」
カバーイラスト アオジマイコ

<あらすじ>
連邦保安官局特殊作戦群(SOG)にいたベン・ケーニグは、頭部に銃弾を受けて病気が見つかり、恐怖を感じなくなった。さらにロシアマフィアから懸賞金をかけられ、町から町を放浪する逃亡生活を余儀なくされた。ケーニグが現場を離れて6年になる。
そんなある日、自分が連邦保安官局の最重要指名手配犯になっていると知る。その直後、保安官事務所に連行された。そして、かつての上司ミッチ・バリッジから、行方不明の女子大生で彼のひとり娘でもあるマーサの捜索を依頼される。
ところが捜査開始早々、ケーニグは酷いヘマをして、首都警察に捕まってしまう。その後始末を、かつての同僚で民間諜報機関に転職したジェン・ドレイパーがして、ケーニグの命も救った。
ケーニグはドレイパーの支援を受け、マーサ失踪の手がかりを追う・・・

<感想>
ワシントン・ポー・シリーズではない。主人公は犯罪者たちの間で悪魔のブラッドハウンドと呼ばれている、チョコレート・ミルクシェイクが好きな恐怖知らずの36歳の男。偽造とITの天才サミュエル、元シカゴ市警の床屋ジョン・トラヴィス(J.T.)など、ユニークなキャラクターも登場する。かなりの長編だが、バイオレンスアクションと窮地の連続なので、苦にならないだろう。
6年前のゲッコー・クリーク事件、8年前のロッククライミング事故、太陽熱発電事業と闇ビジネス、誘拐と死の偽装などが相まって、とても面白いアクション小説だと思う。証人保護プログラムを扱う次作『Nobody’s Hero』が楽しみだな。
満足度 4.gif


posted by ももた at 08:46| 東京 ☀| Comment(0) | ミステリ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
読んだ本の紹介と感想、評価を書きました。