アーナルデュル・インドリダソン 著
柳沢由実子 訳 「MYRKA」
<あらすじ>
レイキャヴィクの中心街にあるアパートで喉を掻き切られた、電気通信会社の技術者ルノルフルの遺体が発見された。
ルノルフルは女物のTシャツを身に着けていた。上着のポケットにはレイプドラッグを潜ませていた。殺害される直前に性行為をしていた。凶器は残っていなかったが、現場に落ちていたカシミアのスカーフは、タンドーリ料理の匂いがした。そしてルノルフルの口の中に、レイプドラッグが詰め込まれていた。
事件を担当する女性捜査官エリンボルクの頭に2週間前のレイプ事件が浮かび、殺人犯はルノルフルを憎悪していたと睨む。
現場周辺の聞き込みから、片足を引きずっていた男と道端に駐車していた不審車の目撃証言が出る。エリンボルクは、レイプドラッグの入手経路とスカーフを手掛かりにして捜査を進める。
やがて、6年前に起きた19歳の少女リリヤ失踪事件が浮上する・・・
<感想>
ロヒプノールをレイプドラッグとして使用したレイプ犯罪、レイプ被害者とその家族を描いており、自動車修理工の夫と10代の子供3人と暮らすエリンボルクの家庭生活、劇的な変化を遂げたアイスランドの地域格差などが相まって、とても面白い北欧ミステリだと思う。
しかし、スッキリしない終わり方だったな。それに時折エーレンデュルの話も出るが、最後まで登場しなかった。
次作『Svortuloft(黒い空)』もエーレンデュルは行方不明のままで、相棒のシグルデュル=オーリの話になるらしい。楽しみだな。