2024年03月28日

イラストで見る 伝説の大泥棒&大脱走

ソレダー・ロメロ・マリーニョ 著
フリオ・アントニオ・ブラスコ 著
轟志津香 訳

<内容>
実在した世紀の「大泥棒」と世間を賑わせた「大脱走」の記録18件を、新聞風デザインとポップなイラストで紹介したもの。

大泥棒 1911年のモナ・リザ盗難事件(ビンセンツォ・ペルージャ)/グラスゴーの列車強盗団(ブルース・レイノルズ&ロニー・ビックス他)/ボーイング727便ハイジャック事件(ダン・クーパー)/銀行強盗事件(アルベール・スパジアリと仲間たち)/装甲車が警備員に盗まれる(エル・ディオニ)/アメリカ最大の美術品盗難事件(警察官に変装した2人組の泥棒・未解決)/ハッカーがシティバンクを攻撃(ロシアの若き数学者ウラジーミル・レヴィン)/ワールド・ダイヤモンド・センター強奪事件(イタリアのラ・スクオーラ・ディ・トリノ窃盗団)/ブラジル史上最大の巧妙な銀行強盗事件(通称ドイツ人のアントニオ・ジュシヴァン・アウヴェス率いる35人の強盗団)」

大脱走 スキャンダラスな逃亡劇(ジャコ・カサノヴァ)/箱詰めになって逃亡した奴隷(ヘンリー・ブラウン)/木の銃を突きつける!信じられない脱出劇(伝説の銀行強盗ジョン・H・デリンジャー)/3か所の厳重警備刑務所から脱出(逃亡の達人アルフレッド・フーディーニ・ハインズ)/アルカトラズ大脱走(武装強盗フランク・モリス、銀行強盗のジョンとクラレンスのアングリン兄弟)/38人の英雄の歴史的な逃亡劇(モンテビデオのカビルド刑務所の、民族解放運動のメンバーだった女性受刑者)/気球で東ドイツを脱出(ヴェッツェル家とシュトレルツィク家、幼児を含む8人の逃亡者)/食事トレー用の隙間からヨガで脱出した囚人(ヨガマスターの泥棒、韓国人のチェ・ガプボク)/世界の麻薬王、メキシコの刑務所の独房シャワーから脱走(ホアキン・グスマン・ロエラ通称エル・チャポ)」

<感想>
殆どがテレビドラマや映画化されている。昔の人は豪快だな。
イラストで見せる犯罪実話だが、読み物としても面白いと思う。
満足度 3.gif


posted by ももた at 09:01| 東京 ☁| Comment(0) | ノンフィクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年03月26日

コールド・リバー

私立探偵V・I・ウォーショースキーシリーズ ㉑
サラ・パレツキー 著
山本やよい 訳 「OVERBOARD」
カバーイラスト サヌキナオヤ

<あらすじ>
コロナによるパンデミックに晒されていたシカゴ。
シナゴーグの壁が、何者かに傷つけられる事件が起きた。ヴィクは愛犬ミッチとペピーを連れて、夜間の見張りをした。
その後ミシガン湖畔まで車を走らせ、犬たちを運動させてやろうとしたところ、ミッチが逃げてしまった。ヴィクは走って追いかけ、岩場にあるコンクリートブロックの隙間に倒れていた少女を発見する。
少女は「ナギー?」と問いかけ、意識を失った。ヴィクは911に通報し、少女が救急車で搬送されるのを見届け、帰宅した。
シカゴ市警が押しかけてきて、少女から渡された物をよこせと迫るが、ヴィクには心当たりがなかった。
数日後、シナゴーグが襲撃された。そして少女が病院から姿を消した。ヴィクはシナゴーグ襲撃事件に関わりつつ、身元不明の少女を捜す。
そうした中、かつての隣人ドニ・リトヴァクの息子ブラッドがヴィクの事務所を訪れ、両親のことを相談する。その帰り、ブラッドが正体不明の男たちに襲われた。
そして病院の清掃人ヤン・カーダールと、少女と同室だったアリアドネが殺された。
体を張って悪人どもと対決するヴィクは、ホロコーストやハンガリー動乱を生き延びた老人たちとティーンエイジャーたちを助けるべく奔走する・・・

<感想>
コロナ禍を背景にヴィクとその愛犬たちの活躍を描いており、シカゴ政財界のフィクサーと土地開発の大規模プロジェクト、かつてサウス・サイドに住み家族が強い絆で結ばれている一族などが相まって、面白く読ませる。
また、ヴィクは一匹狼の女探偵だが、フリーマン・カーター弁護士、ジャーナリストのマリ・ライアスン、ティムとジムとトムのストリーター兄弟、整備士ルーク・エドワーズなど、心強い味方も登場し、懐かしいボビー・マロリー警部の消息にも言及している。シリーズのファンは嬉しいだろう。次作『Pay Dirt』が楽しみだな。
満足度 4.gif


posted by ももた at 08:52| 東京 🌁| Comment(0) | ミステリ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年03月21日

この密やかな森の奥で

キミ・カニンガム・グラント 著
山崎美紀 訳 「These Silent Woods」
カバーイラスト 安藤巨樹

<あらすじ>
アフガニスタンの帰還兵ケニー・モリソンは、過去に犯した罪から逃れるようにクーパーと名乗り、アパラチア山脈の山奥の静かな森の片隅にあるキャビンで8年間、ひとり娘のフィンチと暮らしてきた。
年に一度だけ、毎年12月14日に、この土地の所有者で陸軍時代の相棒でもあるジェイクが、物資の補給に来る。川下に住む隣人スコットランドは、なぜかクーパーの正体も、娘と2人だけで森にいる理由も知っていた。
赤ん坊だったフィンチが知っている世界は家と森だけだが、年月を経てスコットランドを信頼するようになった。
ところが今年は、ジェイクが来なかった。クーパーはフィンチを連れて、南へ80q離れたウォルマートへ買い出しに行く。次の生存計画として森へ狩りに出て、写真を撮っている少女を見かけた。そのときクーパーは、パニック発作に襲われた。
その後、ジェイクの妹マリーがやって来て、彼の死を告げた。雪のせいでマリーが足止めされて6日目、保安官がやって来て、地元の17歳の少女が行方不明になっていると告げた。クーパーが懸命に守ってきた生活は少しずつ崩れていく・・・

<感想>
現在の出来事にクーパーの過去を織り交ぜ、ストーリーが進む。電気通信もない自給自足の生活、死んだら必ず地獄の業火に焼かれるほどの罪、隣人スコットランドの謎の行動など、そそられる展開だ。人里離れた自然の景観描写も素晴らしい。
そして終盤になると状況が一変し、全ての真実が判る。恩義と自己犠牲、社会正義などについて考えさせられた。
クーパーとマリーとスコットランドの悲しい人生の物語、フィンチの成長、少女失踪事件などが相まって、感動的な長編小説だと思う。
満足度 4.gif


posted by ももた at 08:54| 東京 ☀| Comment(0) | ミステリ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
読んだ本の紹介と感想、評価を書きました。