望月諒子 著
<あらすじ>
売れっ子作家・本郷素子が、純文学作家の登竜門として有名な文学賞を受賞した。
そして文芸誌編集長・三村幸造が、広瀬と名乗る神戸の医師の電話を受ける。その後、広瀬医師の患者だという高岡真紀が原稿を送ってきた。
その原稿は、膨大な量の作品を残して3年前に失踪した作家志望の女性・来生恭子が書いた短編だった。
そして本郷素子には、3か月前から無言電話が続いていた。
一方、37歳のフリージャーナリスト・木部美智子は、神戸の連続幼児誘拐事件の追跡取材をしていた。
3人の幼児は無傷で帰ってきたが、4人目の男児・野原悠太の行方は3年経った今も不明のままだった。容疑者の高田治信は、野原悠太については否認している。美智子は、主婦の目撃情報が気掛かりの種になっていた。
そんなとき美智子は、かつての同僚・高岡真紀と5年ぶりに会う。そして出版業界内の途轍もないスキャンダルに関わって行く・・・
<感想>
主人公の木部美智子は、混迷して出口が無くなって行く中、論理的な答えを求めて奔走する。作家志望の女性の失踪と盗作疑惑に連続幼児誘拐事件。一見無関係と思える出来事が見事に繋がって行く。
読者を惹きつける巧妙な展開になっており、一気に読ませる。
そして衝撃的な真相に凍りつく。
心の中に怪物を飼っている女に魅入られた男たちを描いた、凄く面白い長編ミステリだと思う。

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