2023年08月30日

じじぃは蜜の味

財津和夫 著
装画 鳴田小夜子
挿絵 ざいつけいこ

<内容>
西日本新聞と読売新聞に連載したエッセイを加筆修正したものに、書き下ろしを加えて単行本化したもの。

「じじぃだけが知っている」 「じじぃの冷や水」 「じじぃは思い出す」
「じじぃが見た夢」 「じじぃ咲く」 「2021の日記〜2023の日記」
「じじぃの大仕事」 「じじぃが愛す故郷と動物」 「じじぃ最前線」

<感想>
内容が薄いので、あっと言う間に読んでしまった。
20代に音楽界で活躍して未だに現役でも、70歳を過ぎると普通の爺様になっている。チューリップ時代や期限付き再結成、他のメンバーのこぼれ話もなかったな。
しかし、「職業柄、音楽を理性なしに聴くことはできない」「故郷の福岡よりも長く暮らしているのに、まだ東京人になれない」「諦めは大切」「飼い犬と猫の話」など、興味深いエピソードもある。退屈凌ぎにはなると思う。
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重信房子『はたちの時代 60年代と私』


『映像作家 宮崎駿〈視覚的文学〉としてのアニメーション映画』


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posted by ももた at 09:38| 東京 ☀| Comment(0) | ノンフィクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年08月29日

金庫破りときどきスパイ

金庫破りときどきスパイ・シリーズ @
アシュリー・ウィーヴァー 著
辻早苗 訳 「A PECULIAR COMBINATION」
カバーイラスト 長崎訓子

<あらすじ>
1940年、第二次世界大戦下の英国ロンドン。
マクドネル家は表向き錠前屋、その裏で金庫破りを生業としていた。
灯火管制が敷かれている8月のある夜、エリーとミック伯父は無人の屋敷に侵入し、金庫を開け、宝石類を盗んだ。
ところが退散しようとしたとき、数人の男たちに囲まれ、エリーとミックは捕まってしまう。その後ふたりは、陸軍のゲイブリエル・ラムゼイ少佐が待つ屋敷に連行された。
そしてラムゼイ少佐は、見事な金庫破りだったと褒めた後、ある取引を持ち掛ける。刑務所に行きたくなければ、ドイツに通じているスパイが所有する政府の機密文書を金庫から回収し、偽文書と入れ替えること。今夜の出来事は、有能な金庫破りを必要としていたラムゼイ少佐の罠だった。
ミックを人質に取られたエリーに選択の余地は無く、その提案を呑む。
ところがエリーとラムゼイ少佐が屋敷に忍び込むと、金庫の扉は開いていて、そばには喉を掻き切られた兵器工場主トマス・ハーデンの他殺体があった。そして誰かが、エリーたちに先んじて文書を入手していた。
エリーとミックは売国奴の正体を突き止め、機密文書がドイツに渡るのを阻止するべく、ラムゼイ少佐に協力するが・・・

<感想>
凄腕の金庫破りと堅物の青年将校の活躍を描く、凄く面白いコージーミステリだと思う。
主人公のエリーことエレクトラ・ニール・マクドネルは、刑務所生まれの24歳アイルランド系美人。幼い頃にミック伯父に引き取られ、家政婦のネイシーことナンシー・ディーンが母親同然の存在。きちんとした教育を受け、上流階級の裏表を学び、年上の従兄弟トビーとコルムから妹のように可愛がられて育った。勇敢で冷静なうえ頭脳明晰で、記憶力や演技力もあり、勝気で肝が据わっている。
そしてマクドネル家の友人であり、エリーの男友達でもある元海軍兵フェリックス・レイシーは、冷静沈着で、機略縦横で、緊急事態にも狼狽えないハンサムな贋造師。
一方、伯爵の甥であるゲイブリエル・ラムゼイ少佐は長身のブロンドで、どんな女も振り返る眉目秀麗な30代前半の紳士。
そんな彼をエリーは横柄な堅物と見做し、少佐も高圧的な態度だったが、次第に仲間意識が出てくる。定石通りの展開だが、スパイゲームや魅力的なキャラクターと時代背景が相まって読ませる。
戦争という困難な状況の真っ只中にいても、希望を見失わない彼らから勇気を貰った。
2作目『The Key To Deceit』が楽しみだな。
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『公爵さま、いい質問です』『エリザベス女王の事件簿バッキンガム宮殿の三匹の犬』
   

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posted by ももた at 08:45| 東京 ☁| Comment(0) | ミステリ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年08月25日

卒業生には向かない真実

ピップ・シリーズ B(完結編)
ホリー・ジャクソン 著
服部京子 訳 「As Good As Dead」

<あらすじ>
イギリスの小さな町リトル・キルトン。
ケンブリッジ大学入学直前のピップは、ツイッターとブログの発言が誹謗中傷に相当するとして、マックス・ヘイスティングスから名誉棄損で訴えられた。
そして無言電話に匿名メール、首を切られたハトの死骸が私道で見つかり、歩道寄りにチョークで頭のない棒人間を描かれるなど、奇妙な出来事が続いていた。
一連の出来事をグーグルで検索した結果、6年半前の連続殺人事件を見つける。犠牲者の身に起きたのと全く同じことが、ピップにも起きていた。
その連続殺人犯ビリー・カラスは逮捕されて服役中だが、無実を訴えていた。彼の母親が運営するフェイスブックページを見つけ、ビリーの事情聴取の記録を全部手に入れた。もしビリーが無実なら、連続殺人犯は野放しになっている。ピップは、自分が次の犠牲者だと確信する。
そこでテクノロジーで武装し、相棒ラヴィと共に調査を開始するが・・・

<感想>
ピップは前作の事件後、クスリがなくては眠れなくなった。自分の凶暴性に慄き、壊れていると感じている。そして「真実なんて何の意味もない。正義は法の外側でしか見つけられない。」と言う。ピップの言い分を信じない警察も、レイプ魔を無罪放免にした陪審員も信用できないのだ。
これまでとは違うダークな展開に少し戸惑うが、狡猾なストーカーの正体を探るうち、ITを駆使する素人探偵ピップが戻ってくる。サスペンスフルな心理描写とスリリングな展開で面白く読ませる。
また、支え合うピップとラヴィのコンビ愛も素敵だと思う。
そして中盤を迎え、強烈な衝撃を受けた。凄く面白い犯罪小説だと思う。
しかし他人に罪を擦り付け、殺人犯に仕立て上げる復讐劇は頂けないな。
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<ピップ・シリーズ作品リスト>
@『自由研究には向かない殺人』  A『優等生は探偵に向かない』
   

B『卒業生には向かない真実』

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posted by ももた at 16:33| 東京 ☀| Comment(0) | ミステリ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
読んだ本の紹介と感想、評価を書きました。