2023年01月12日

木曜殺人クラブ 二度死んだ男

木曜殺人クラブ・シリーズ A
リチャード・オスマン 著
羽田詩津子 訳 「THE MAN WHO DIED TWICE」
装画 千海博美

<あらすじ>
イギリスの郊外にある引退者用高級施設クーパーズ・チェイス。この豪華で静かで平穏な施設には、毎週木曜日に会合を開き、探偵の真似事を楽しんでいる老人グループ、〈木曜殺人クラブ〉があった。メンバーは、クラブの中核であるエリザベス・ベスト、元看護師のジョイス・メドウクロフト、有名な労働組合のリーダーだったロン・リッチー、引退した精神科医イブラヒム・アリフ。
晩秋のある日、エリザベスは死んだ男からの招待状を貰う。熟考した挙句、その男が暮らしているという14号室を訪ねた。
すると、エリザベスの元夫で英国の諜報員でもあるダグラス・ミドルミスがいた。ダグラスは調査対象者の屋敷から2千万ポンド相当のダイヤを盗み、米国マフィアとコロンビアのドラッグカルテルに追われていた。警護官付きでクーパーズ・チェイスに潜伏しているが、エリザベスに身辺警護を頼む。
一方、ドナ・デ・フレイタス巡査とその上司であるクリス・ハドソン主任警部は、地元の新しいドラッグ女王コニー・ジョンソンの商売の全貌を掴んで一網打尽にすべく、証拠収集をしていた。
そんなとき、イブラヒムが路上強盗に遭遇して大怪我を負う。容疑者は直ぐに挙がったものの、証拠不十分で保釈された。エリザベスたちは、イブラヒムの強盗傷害事件を解決すべく立ち上がる。
やがてクラブのメンバーたちは、スパイと凶悪な犯罪者たちが絡む大事件に巻き込まれて行く・・・

<感想>
何ともまぁ、パワフルな老人たちである。話が噛み合わなくても会話が成立していて笑える。
彼らはどんな時も忖度しない。どんな場面でも物怖じしないし、犯罪組織の大物と渡り合い、脅し文句にも屈しない。怖いものなしだ。
そして仲間が酷い目に遭わされたら、少年でもきっちりと落とし前をつけさせる。
また、新しいことにも挑戦し、しっかり手掛かりを得ている。ユーモア満載のうえ、伏線も巧妙だ。
ドナとクリスの私生活、消えたダイヤの謎、犯罪シンジケートとドラッグディーラーを一網打尽にする凄い計画、どんでん返しなどが相まって痛快な長編ミステリだと思う。
本作でエリザベスがMI5(英国情報局保安部)の優秀な諜報員だったと明かされる。第3作『Bullet That Missed』が楽しみだな。
満足度 4.gif



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posted by ももた at 09:19| 東京 ☀| Comment(0) | ミステリ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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