吉岡ゆき 訳 「Ukrainisches Tagebuch」
<内容>
ウクライナの首都キエフで妻とティーンエイジの子供3人と暮らす、世界的なベストセラー小説『ペンギンの憂鬱』の著者であるアンドレイ・クルコフが、2013年に起きたマイダン(独立広場)革命、大統領の国外逃亡、ロシアのクリミア半島併合、続く内乱など、未だに収束していない歴史的うねりの渦中に身を置き、その激動の日々を一市民の視点から書き留めたドキュメント。
「ウクライナ情勢入門 池上彰 /ウクライナの歴史/クリミアとは何か/ウクライナの東部と西部/エネルギー問題の視点から」
「日本語版序文(あるいはあとがき)アンドレイ・クルコフ」
「ウクライナ日記 2013年11月21日〜2014年4月24日 (前書き/日記)」
「訳者あとがき」
<感想>
レニングラード州で生まれたアンドレイ・クルコフは、民族的にはロシア人だが、今はウクライナ国民。ウクライナはヨーロッパの一員になるべきだと考えているそうだ。
ウクライナが抱えるロシアとの複雑な歴史、スターリン時代の大飢饉ホロドモール、政治と警察の腐敗、愛国者と分離主義者の対立、ユーロマイダンへの弾圧と狙撃や暴行事件、オレンジ革命とマイダン革命、ロシアのクリミア併合作戦とロシア化施策、クリミア・タタール人の強制移住、ロシアの指示を受けている親ロシア派分離主義武装勢力と東部(ドネツク州とルハンスク州)の内乱、ロシアの脅迫と挑発に嫌がらせ、ウクライナの領土保全をめぐる闘い等々、勉強になった。
池上彰氏の「ウクライナ情勢入門」よりも、本文中の「訳注」や「訳者あとがき」の方が分かり易いな。
そして、ソ連邦の構成国だった国々がロシアを嫌い、警戒する理由も理解できた。
2022年2月のロシアによるウクライナへの軍事侵攻の根源を伝える良書だと思う。
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