小梅けいと 画
清水螺旋人 監修
<内容>
ノーベル賞作家スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチの『戦争は女の顔をしていない』を漫画化したもの。
「第12話 お母ちゃんお父ちゃんのこと」
「第13話 はじめてのメモから(執筆日誌より)」
「第14話 パルチザンの斥候アントニーナ・アレクセーエヴナ・コンドラショワの話」
「第15話 准医師アンナ・二コラエヴナ・フロロヴィチ中尉の話」
「第16話 ふと、生きていたいと熱烈に思った」
「第17話 子供の入浴とお父さんのようなお母さんについて」
<感想>
ロシアでは大祖国戦争と呼ばれる第二次世界大戦の独ソ戦(1941〜1945)を描いており、第14話と第16話(衛生兵タマーラ・ステパノヴナ・ウムニャギナの話)は、とてもハードな内容だった。
ファシストは子供を井戸に放り込んだ。パルチザンの若者をノコギリで丸太のように切り分けた。ドイツの戦車の列が子供たちを跡形もなく押し潰した。
スターリングラードには人間の血が染み込んでいない地面はなかった。町中が破壊され尽くして建物もめちゃめちゃ、負傷者は塹壕、地下壕、地下室など、至る所に転がっていた。人間が人間に襲い掛かっていく恐ろしい白兵戦。想像を絶する凄まじい戦場だった。
戦争が終わっても至る所に地雷や不発弾があって、4年間戦い抜いて生き残ったのに自分の故郷の畑で戦死した。
負傷したドイツ兵が地面に転がって土を掴んでいるのを見たソ連の兵隊は、「俺たちの大地に手を触れるな。お前の土はお前の国にあるんだ。」と言っていた。今ロシアに攻め込まれているウクライナの人々も同じ気持ちだろうな。
人間はどこまで残虐非道な所業ができるのだろう。普通の人間を憎悪の塊、非人道的な野蛮人に変えてしまう戦争は、本当に恐ろしいと思った。
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