2022年09月14日

妻はサバイバー

永田豊隆 著
装画 椎木彩子

<内容>
第1章 摂食障害の始まり 食べては吐く日々/予兆/私の部屋/自転車操業/M医師との出会い/精神医療の壁/異動、そして引っ越し」
第2章 精神科病院へ サラ金か離婚か/性被害/幻覚/仕事との両立/入院と隔離/貧困報道」
第3章 アルコール依存 依存の始まり/カウンセリング/解離とPTSD/よみがえる記憶/死を覚悟した夜/自助グループ/休職」
第4章 入院生活 依存症患者の家族/妄想/水中毒/セカンドオピニオン/酒ふたたび/転機」
第5章 見えてきたこと 新しい生活/社会の障壁/トラウマ/自己治療」

<感想>
著者は朝日新聞の記者。精神障害者の家族でいること、次々と発症する病などを客観的に書いておられるが、実情はもっと大変なのだろうな。普通ならば共倒れになる前に彼女を見捨て逃避し、自分の人生を取り戻すだろうな。
しかし著者は、妻が心を病んでから、全国版の一面トップに載る初めての独自記事を書いた。強靭な方だな。とても真似できないと思った。
読書中、何度も心が折れそうになり、気が滅入ったな。
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手嶋龍一
『武漢コンフィデンシャル』 『ウルトラ・ダラー』 『スギハラ・サバイバル』
  


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2022年09月12日

戦争は女の顔をしていない 3

スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ 原作
小梅けいと 画
清水螺旋人 監修

<内容>
ノーベル賞作家スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチの『戦争は女の顔をしていない』を漫画化したもの。

「第12話 お母ちゃんお父ちゃんのこと」
「第13話 はじめてのメモから(執筆日誌より)」
「第14話 パルチザンの斥候アントニーナ・アレクセーエヴナ・コンドラショワの話」
「第15話 准医師アンナ・二コラエヴナ・フロロヴィチ中尉の話」
「第16話 ふと、生きていたいと熱烈に思った」
「第17話 子供の入浴とお父さんのようなお母さんについて」

<感想>
ロシアでは大祖国戦争と呼ばれる第二次世界大戦の独ソ戦(1941〜1945)を描いており、第14話と第16話(衛生兵タマーラ・ステパノヴナ・ウムニャギナの話)は、とてもハードな内容だった。
ファシストは子供を井戸に放り込んだ。パルチザンの若者をノコギリで丸太のように切り分けた。ドイツの戦車の列が子供たちを跡形もなく押し潰した。
スターリングラードには人間の血が染み込んでいない地面はなかった。町中が破壊され尽くして建物もめちゃめちゃ、負傷者は塹壕、地下壕、地下室など、至る所に転がっていた。人間が人間に襲い掛かっていく恐ろしい白兵戦。想像を絶する凄まじい戦場だった。
戦争が終わっても至る所に地雷や不発弾があって、4年間戦い抜いて生き残ったのに自分の故郷の畑で戦死した。
負傷したドイツ兵が地面に転がって土を掴んでいるのを見たソ連の兵隊は、「俺たちの大地に手を触れるな。お前の土はお前の国にあるんだ。」と言っていた。今ロシアに攻め込まれているウクライナの人々も同じ気持ちだろうな。
人間はどこまで残虐非道な所業ができるのだろう。普通の人間を憎悪の塊、非人道的な野蛮人に変えてしまう戦争は、本当に恐ろしいと思った。
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サーシャ・フィリペンコ『赤い十字』  アンドレイ・クルコフ『ウクライナ日記』
   


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2022年09月09日

昭和の参謀

前田啓介 著

<内容>
「序章 参謀とは」
「第1章 石原莞爾 満州事変という「下克上」」
「第2章 服部卓四郎 作戦指導の中枢と再軍備」
「第3章 辻政信 幕僚統帥の孤高と孤独」
「第4章 瀬島龍三 シベリア抑留、そして商社へ」
「第5章 池田純久 経済参謀の「国づくり」」
「第6章 堀栄三 反骨の情報参謀」
「第7章 八原博通 合理主義者の戦いと沈黙」
「終章 戦後社会と参謀」

<感想>
参謀たちは、満州事変から太平洋戦争に至るまで15年続いた戦争を実質的に指導した。軍人の中でも特別な存在だったそうだ。その参謀の作られ方、終戦後、元大本営参謀と言う肩書きを背負ってどう生きたのかなど、勉強になった。
また、名前しか存じ上げなかった方、名前すら知らなかった方の生い立ちや軍歴を知ることができ、石原伝説、大東亜戦争開戦の原動力(田中新一作戦部長、服部卓四郎作戦課長、辻政信戦力班長)と日本再軍備の軌跡、関東軍の辻と戦後の辻旋風、シベリア抑留生活と瀬島の人生観、日本とエチオピアの関係、元情報参謀の村おこし、沖縄戦等々とても興味深く、人物評伝としても面白いと思う。
太平洋戦争について無知に等しいので、丁度良い本だったな。
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辻政信『潜行三千里』 瀬島龍三『幾山河』 八原博通『沖縄決戦 高級参謀の手記』
  

稲垣武『沖縄 悲遇の作戦』  山崎豊子『不毛地帯』
   


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posted by ももた at 09:26| 東京 ☁| Comment(0) | ノンフィクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
読んだ本の紹介と感想、評価を書きました。