鈴木美朋 訳 「False Witness」
<あらすじ>
2021年春、新型コロナウイルス感染症によるパンデミック下のアトランタ。
大手法律事務所に勤める刑事弁護士リー・コリアーは、経営者コール・ブラッドリーに呼び出され、レイプ事件で起訴された大企業の御曹司アンドルー・テナントの弁護を命じられた。犯行を裏付ける複数の証拠が揃い、類似事件の犯行も疑われるなか、アンドルーは無罪を主張していた。クライアントはリーを名指ししているが、彼女に心当たりはない。
ところがアンドルーは、23年前、彼女と妹キャリーがベビーシッターをしたトレヴァー・ワレスキーだった。父親バディが失踪した後、母親リンダは実家へ戻り、家業を継いだ。そのときトレヴァーは改名していたのだ。
リーとキャリーは治安の悪い地区の母子家庭で育った。母親フィルに虐待されていた不良少女で、リーは少年院に入ったこともある。
揉み合いになってバディを殺してしまったと、キャリーが電話してきたとき、リーは大学に入学するための荷造りをしていた。急遽ワレスキー家に駆けつけ、証拠を消し、隠蔽工作をして、バディが不正行為で得た金を横取りした。その間トレヴァーは、父親が飲ませた薬が効いて死んだように眠っていた。
その後リーは必死に努力して、優しい夫ウォルターと愛娘マディとの掛け替えのない生活を掴んだ。人は環境を乗り越え、悪循環を断ち切ることができると信じていた。
しかしキャリーは、立ち直れなかった。薬物依存を繰り返し、今や住所不定の37歳のジャンキーになっていた。そしてリーは、父親の死の真相を知っているかのような、アンドルーの言動に怯えていた。
そこで姉妹は、23年前のバディ殺しを検証して行き、当時は見逃していたビデオの存在を掴む。
そんな中、日曜学校の教師ルビー・へイヤーが襲われ、猟奇的な手口で殺害された。被害者は、リーのママ友だった。
サディスティックな連続レイプ犯アンドルーは、リーの私生活をめちゃくちゃにしようとしていた・・・
<感想>
葬った筈の23年前の悪夢が蘇る。姉妹は再び封印することができるのか。そしてサディスティックな連続レイプ魔を追い詰めることができるのか。ジェットコースターようにスリリングな、そそられる展開になっており、読み始めたら止められない。
固い絆で結ばれた4歳違いの姉妹とアンドルーの攻防、リーとアンドルーの心理戦、アンドルーの周到な計画など、サスペンスフルだ。
そして、レイプ被害者の事情聴取、自滅行為に執着しているリーのサバイバル術、ジャンキーの心理状態も興味深い。
また、話が進むに連れ、新たな事実が次々と明らかになり、驚愕する。凄く面白いサスペンス小説だと思う。

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