桑原洋子 訳 「DEAR EDWARD」
装画 安藤巨樹
<あらすじ>
旅客機墜落事故が起き、乗員乗客191名が死亡、生存者は両親と兄を失った12歳の少年エドワード・アドラーだけだった。
少年は唯一の血縁者である母方の叔母レイシー・カーティスに引き取られた。夫のジョンはコンピューター技術者で、夫妻には子供がいない。
エドワードは、松葉杖で歩くことが可能になってから病院を退院し、叔母夫妻の家へ移った。
だが大きな悲しみと恐怖に立ち向かうことができず、頭の中でずっとカチッという音が聞こえ、食べ物が嫌いになった。セラピストに会い、理学療法を受けに行く中、隣の家に住む少女シェイは、エドワードにとって酸素のようなものだった。
墜落事故から2年の月日が経ち、医師たちはエドワードの健康状態には問題がないと断言した。兄のそばで寝ていたエドワードは、シェイと出会って以来、毎晩彼女の部屋で寝ていたが、止める節目に来ていた。ふたりは大人になろうとしていた。危機的状況は終わり、エドワードは前に進まなくてはならない・・・
<感想>
旅客機墜落事故の唯一の生存者である少年の事故後6年に及ぶ日々と、事故が起きる直前の機内の様子が交互に語られる。恐ろしい悲劇だが、ハッピーエンドなので読後感がとても良い。
家族を失い、たったひとり生き残った少年の再生と成長、彼を支える人々の思いやり、エドワードとシェイの友情などを描いた、感動的な青春小説だと思う。映画を観ているような、そんな感じがしたな。

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