田口俊樹 訳 「WHATEVER IT TAKES」
装画 杉田比呂美
<あらすじ>
未知のウイルスのパンデミックによって荒廃した、アメリカのある町。
第2波で老人の娘は夫を亡くした。老人の最愛の妻が亡くなったのは、第4波だった。色々な物の供給が滞り、金を引き出す前に銀行が潰れてしまった。
町の治安が悪化する中、老人と娘と14歳の孫息子は住む家を失い、空き家を転々としている。生き延びるためにフードバンクで施しを受け、盗みをしないと生きていけない。外に出れば必ず金バッチの警官にIDカードの提示を求められ、子供たちは教育から見捨てられた。
ある日、孫が雌の大型犬を保護し、パンジー・ヴァリアントと名付けた。少年には、こんな世界になる前の記憶が殆どない。自分だけの物を何も持っていなかった。彼らはここを抜け出し、危険な目に遭わずに安全に暮らせる場所を求めていた。
そうした中、少年がIDカードを持っていない13歳の少女マンディを連れて来た。マンディには懸賞金が掛かっていて、大勢の警官が探していた・・・
<感想>
マスク装着にソーシャル・ディスタンス。コロナ禍にぴったりな話だと思い、興味津々で読み始めたが、テレビ、ラジオ、電話、インターネットもなくて、分からない事が多すぎる上、近所の住人もいなくて老人一家しか描かれない。
犬は食用みたいなのにペットフードもあるし、夜間外出の言い訳に犬の散歩が通用するなど、矛盾点も多い。
そして老人一家は、ここではない何処かへ行けば希望があると思っているみたいだが、その保証はない。
色々考えさせられて面白く読ませるが、何も判らないまま終わるので物足りないな。

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