2022年07月29日

空をこえて七星のかなた

加納朋子 著
装画 坂月さかな

<内容>
「南の十字に会いに行く」「星は、すばる」「箱庭に降る星は」「木星荘のヴィーナス」「孤舟よ星の海を征け」「星の子」「リフトオフ」を収録した連作短編集。

<感想>
宇宙と星をテーマにした、感動的な連作短編集だと思う。
「南の十字に会いに行く」の舞台は石垣島。主人公は父親・北斗とふたりきりで暮らす、もうじき中学生の七星と言う名前の女の子。母親は、宇宙飛行士を目指してNASAで訓練中。天文学者である祖母に会うため、石垣島へやって来た。観光と再会を描いた、楽しい話だと思う。
「星は、すばる」は、小学4年生とき右目を怪我して両目とも視力が低下してしまった女の子・美星が主人公。彼女の夢は、夏休みの星空観測会で出会った美少年と一緒に、宇宙飛行士になること。その子供のポジティブさが眩しい。そして、生まれつき片方の目だけが極端に悪い「不同視弱視」を知った。とても良いお話だと思う。
「箱庭に降る星は」の舞台は、山に囲まれた田舎町の高校。部員不足で廃部寸前のオカルト研究会と天文部と文芸部が、生徒副会長のアイデアで強引にまとめられ、彼女も一時的に入部してスぺミス部として発足した。そのメンバーの秘密裏の活動を描いており、爽快な青春ミステリだと思う。
「木星荘のヴィーナス」は、木星荘の住人である金江さんを巡る素敵な話。
「孤舟よ星の海を征け」は、宇宙旅行中の巨大宇宙船のなかで幕が開く、母親の角膜を移植した少年・海斗の感動的な話。
「星の子」と「リフトオフ」は、「南の十字に会いに行く」の続編。「星の子」は、特殊な親を持った女子中学生の友情を描いている。そして「リフトオフ」には、これまでの登場人物が勢揃いし、意外な相関図が完成する。種明かし編になるのかな。最終編らしく、上手く纏まっていると思う。
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川瀬七緒『クローゼットファイル 』 篠田節子『セカンドチャンス』
   


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2022年07月27日

一生、山に登るための体づくり

何歳からでも始められる筋トレ・ストレッチ
(2018年9月に刊行された『一生、山に登るための体づくり』の新装版)
石田良恵 著

<内容>
「はじめに なぜ50歳以上に事故が多いのか/自分の体力年齢を知ろう/2つのテストで体力年齢をチェック/登山で使う主な筋肉」

「1.ストレッチで山登りをもっと楽しめる体づくり/毎日続けたい基本のストレッチ/エッセイ 100m走と山登り」

「2.毎日15分。今日から始めたい筋トレ/毎日続けたい基本の筋トレ/コラム 筋肉痛のウソ・ホント」

「3.事故・ケガ・高山病を予防するトレーニング/コラム 知っておきたい「高山病」の知識/コラム 体力を補うトレッキングポールやタイツ」

「4.持久力を上げるトレーニング/コラム 自宅でできる疲労回復」

「5.栄養学と水分補給のテクニック/エッセイ 子どものころの怖い山道」

「6.山の体のQ&A」 「おわりに」

<感想>
65歳で登山を始めた著者が、実体験に基づき試行錯誤を繰り返しながら得た、トレーニングやストレッチ、体づくりと栄養補給などを分かり易く解説しており、勉強になった。
データがあるので説得力がある。その方法や対策も難しくないので覚えやすい。それに特別な道具を必要としない。
そして医者から教わった腰痛体操と重複していた。なんだかんだ言って継続しているし、その効果もある。毎日続けることが大事だと改めて教えられたな。登山に特化した本だけど、体力維持にも役立つと思う。
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posted by ももた at 08:57| 東京 ☀| Comment(0) | ノンフィクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年07月25日

犯罪捜査官エーレンデュル・シリーズ E
アイスランド推理小説大賞受賞
アーナルデュル・インドリダソン 著
柳沢由実子 訳 「HARDSKAFI」

<あらすじ>
レイキャヴィク市の住人マリアが、シンクヴァトラ湖畔のサマーハウスで首吊り自殺した。遺体を発見したのは、マリアの幼馴染みで大手銀行の情報・報道課の秘書をしているカレン。
マリアは2年前、固い絆で結ばれていた母親レオノーラを癌で亡くしていた。非常に密接な関係だった父親マグヌスは、彼女が7歳の頃、シンクヴァトラ湖で溺死していた。マリアの夫で医者でもあるバルドヴィンによれば、彼女は長い間うつ状態だった。
数日後、エーレンデュルの職場にカレンが訪れ、マリアの死には不審な点があると言い出す。
マリアは暗闇を怖がり、ひとりでいるのを恐れていた。死後の世界に興味を持ち、死ぬ前に女性霊媒師と会っていた。
降霊会の録音テープを聞いたエーレンデュルは違和感を覚え、独自調査に乗り出す。
一方、30年前に末息子のダーヴィッドが行方不明になって以来、定期的にエーレンデュルの職場を訪れる夫婦がいた。
当時、ダーヴィッド失踪事件の他にも2つの失踪事件があったが、いずれも未解決のままだ。ダーヴィッド少年の母親は既に亡くなり、少し前から高齢者施設に移り住んでいる父親も死期を迎えている。エーレンデュルの両親も、雪山で遭難した幼い弟ベルギュルを見つけられずに逝った。エーレンデュルは今も、幼い弟を探し続けている。そこで秘密裡に失踪事件の再調査に乗り出すが・・・

<感想>
本書は2007年の作品。アイスランド人は幽霊とかお化けを本気で信じていて、超自然の話が大好きとのこと。そんな背景を踏まえつつ読み進めるも、死後の世界の話はついていけないな。
そして、エーレンデュルの聞き取り調査を描いているが、正式な捜査ではなく過去をほじくり返している独り相撲感を拭えない。それにすっきりしない決着だったな。
しかし、小さな情報の破片を集めて行き、真相に迫って行くのは面白い。エーレンデュルの家族のエピソード、魂の危機や不幸に陥った人々など、奥深い話でもある。エーレンデュルの後悔と自己嫌悪、子供を失った親の心情が胸に迫ってくる。アイスランドの自然が相まって味わい深く、読み応えがあると思う。
エリンボルクが主人公の7作目『Myrka』(2008)と、シグルデュル=オーリが主人公の8作目『Svortuloft』(2009)が楽しみだな。
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posted by ももた at 09:13| 東京 ☀| Comment(0) | ミステリ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
読んだ本の紹介と感想、評価を書きました。