装画 コバヤシヨシノリ
<内容>
明治・大正期の実業家で電力王と呼ばれた、福沢諭吉の娘婿・福沢桃介(1868年8月13日〜1938年 2月15日)の生涯を描いた伝記小説。
<あらすじ>
明治元年に埼玉(現在の比企郡吉見町)の貧農の次男として生まれた岩崎桃介は、子供の頃、億万長者になろうと心に誓った。
16歳のとき、知り合いの口利きで慶応義塾に入り、寄宿舎の住人となった。
18歳のとき、洋行を条件に福沢諭吉の娘婿となる。
念願の米国留学を果たし、北炭鉄道に就職。全ては順調にいくかと思いきや、26歳のとき肺結核に罹り、長期入院を与儀なくされる。入院中に株を覚え、大金持ちになる。その金を元手にロシア相手の貿易会社をつくるが、義父である諭吉の裏切りに遭い、会社を畳む。諭吉の死後、株式相場に嵌まり、兜町の飛将軍となる。
不惑を迎え、相場師という職業に嫌気がさし、世間から感謝される事業をやってみたくなる。この世に生きた証しを残すべく、電力事業に乗り出すが・・・
<感想>
福沢桃介は金持ちになる夢を実現し、「たとえ自分が死んでも、その事業が潰れずに続いて行けば、永遠の命を貰ったもの」と言い、木曽川を堰き止めて大井ダムを造った。
厳しい競争社会で生き残るための試練と挫折、強い意志と自分が置かれた環境やチャンスをものにする状況判断、お金と人脈の使い方や作り方など、明治・大正期の日本男児は凄いと思った。なんかもう、圧倒されたな。