2022年01月31日

犬はきらい? わたしを変えたダメ犬サーシャの物語

エミリー・ヨッフェ 著
佐藤桂 訳 「WHAT THE DOG DID」

<内容>
1.「犬のいない人生なんて!」…犬が欲しいと家族に泣かれ、飼うほうがましだと考える」
2.愛情に飢えて…子ども時代に飼っていたジャーマン・シェパード、ブランディの受難の歴史」
3.遺伝子の伝令…愛犬家の血は、ときに隔世遺伝する」
4.一泊犬付き…ウィスコンシンの奇妙な一夜」
5.白紙からの出発…サーシャはペット初心者、こちらは犬の飼い主初心者」
6.いざ入学…サーシャ、服従訓練のクラスで落ちこぼれる」
7.抗うつ薬はいかが?…さらなるトレーニングに挑戦」
8.「イエッサー、トッド教官」…サーシャに強敵あらわる」
9.一通の嘆願メール…幸せを見つけたわが夫」
10.犬のレスキュー隊…「あの犬がわたしの命を救ったの」」
11.蝶々夫人…お預かりビーグル2代目、マギー」
12.ビーグル犬航海記…サーシャ、まともなペットめざして進化中」
13.アメリカの紳士…永遠の憧れ、ボストンテリア」
14.「わたしたちのための犬…最新のビーグル、ゴージャスなアニー」」
15.トラブルにも負けず…BREW創設者の困った犬たち」
16.猛犬に注意…サーシャのようないい子ばかりではない」
17.粗相は楽し…「地下室がくさいような気がするんです」」
18.動物コミュニケーション体験…ペットとテレパシーで交信する」
19.犬好きたちの受難…犬のせいで痛い思いをする」
20.補助犬見習い…サーシャ、人の役に立つ」
21.「あなたのポケットに入っているのはバナナ?」…空港で活躍する探知犬たち」
22.食えないベーグル…最新のお預かり犬、ゴールディ」
23.驚異のサバイバル・ストーリー…レディバグ、ウィルスン、パグズリー」
24.見かけ倒しのゴールディ…この犬をもらってくれませんか?」
25.穏やかで家庭的?…犬はどこから来たのか」
26.神経質で気難しいひねくれ者…荒くれブルドッグの行動療法」
27.犬を心から愛した人…わたしたちのトッド」
28.犬ばかと言われても…もう一匹が欲しい」
29.「サーシャ、だめ!」…ビーグル犬はリードを放してはいけない」

<感想>
猫好きだった著者が、膨大な時間を費やして殺処分寸前のところを救出された元野良犬のビーグル、サーシャと出会い、思いがけず重度の犬好き人間になるまでの道程を綴った奮闘記であり、犬を飼いたいと思っている人なら必読の楽しいエッセイだと思う。
本業がライターだけに、笑いや涙を誘うコツを心得ており、文章が上手い。楽しくて一気読みしてしまった。
また、ビーグル犬の性質、犬種による性格の違い、犬を飼う前の心得とトイレ躾けの顛末、フォスター・ファミリー(犬の一時預かり)など、勉強になった。
これまで読んだ犬関連の本の中で一番本面白かったな。おススメです。
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posted by ももた at 09:27| 東京 ☀| Comment(0) | ノンフィクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年01月26日

雷神

道尾秀介 著

<あらすじ>
家業の和食料理店「一炊」の見習い料理人・藤原幸人は、教師の妻・悦子と4歳の娘・夕見と埼玉のマンションで幸せに暮らしていた。
ある日、自宅ベランダからアザミの植木鉢が落下して、軽自動車のフロントガラスを直撃した。取り乱した年配の女性ドライバーがアクセルペダルを踏み込んでしまい、猛スピードで悦子の身体を背後から跳ね飛ばした。夕見が父親を喜ばせようと、植木鉢を陽の当たる場所へ移動したのだ。
現場を目撃していた幸人は、姉・亜沙実に娘を預け、病院に駆け付けつけるが、妻はもう冷たくなっていた。幸人は娘の暮らしを守るため、事故の真相を一生話さないと心に誓う。
妻の事故死後、幸人は娘を連れて3駅離れた実家へ戻り、父・南人を師匠にして料理の修業を続けた。
15年後、父が病死し、夕見は大学の写真学科に通いながら店の接客を手伝うようになった。
そんなある日、事故の原因と真相を知っているという男から脅迫の電話が掛かってきた。そして夕見が、懊悩する幸人に尊敬している写真家の写真を見せ、同じ場所で写真を撮って大学の期末写真として提出したいと言い出す。
その場所、新潟県羽田上村は雷が多い村で、幸人と亜沙実の生まれ故郷だった。31年前に母が不審死を遂げ、その翌年、雷が亜沙実を直撃して肌に電紋を刻み右耳の聴力を奪った。同じ日に毒キノコ中毒死事件が起き、父を殺人犯扱いした場所だった。藤原一家は村から逃げ、誰ひとり知る者のいない埼玉に移住したのだ。
この出来事を夕見に話したところ、写真を撮りに行くついでに、事件の真相解明をしようと言い出す。そこで幸人は脅迫者から娘を遠ざけるため、亜沙実と夕見を連れて30年ぶりに故郷へ行くが・・・

<感想>
人間の心の弱さや危うさ、親の愛が身に沁みる。そして思い込みや勘違い、行き違いなどで人生を狂わせたり、思い遣りや避けようのない出来事によって悲劇が生まれ、切なくも奥の深い話になっている。真犯人に同情を覚えた。
昭和の終わりから平成の出来事を絡め、その時代の風潮と地方色、家族愛や深い友情、父性愛などを描いた、感動的な長編小説だと思う。
そして、ありきたりな復讐劇なのだが、精緻なプロット、巧妙な伏線とトリックの妙味でそれを感じさせない技量に脱帽する。読み応えのある凄く面白いミステリだと思う。
さて本書には、有名な写真家の息子で、地方の郷土史や未解決事件を研究しながら全国を巡る写真家・八津川彩根が、重要な役どころで登場する。シリーズ物の探偵みたいだと思った。あれば良いのにな。
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ラベル:道尾秀介 星5
posted by ももた at 08:41| 東京 ☁| Comment(0) | ミステリ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年01月24日

凍てついた痣

グラント郡シリーズ B
カリン・スローター 著
田辺千幸 訳 「A FAINT COLD FEAR」


<あらすじ>
グラント工科大学の敷地内にある橋の下で、男子学生アンディ・ローゼンの死体が発見された。第一発見者は、ジョギング中の女子学生エレン・シェイファー。アンディの母親ジルは大学のカウンセラーで、父親のブライアン・ケラーは生物学部の教授だった。
そのとき、検死官兼小児科医のサラ・リントンは、妊娠中の妹テッサと一緒に外出していた。テッサに懇願されて、サラは妹を連れて現場に駆けつける。橋の上から遺書が見つかり、腕に自殺未遂の痕跡があることから、アンディは橋から飛び降りたと思われるが、ジェフリーとサラは違和感を抱く。
そして、サラが遺体を検分している間にテッサの姿が見えなくなる。その直後サラは、森の中で胸と腹を刺されて意識を失い瀕死の状態で倒れている妹を発見する。
ジェフリーの元部下で大学の警備員をしているレナ・アダムズは、その様子を木陰で見ていた男を追いかけるが、足首を捻挫して見失う。
テッサはヘリコプターでアトランタの病院に搬送された。
アンディの死とテッサ襲撃事件の関連が判らない中、シェイファーが学生寮の自室で拳銃自殺した。
その後、レナ・アダムズの指紋がアンディの部屋から見つかり、ジェフリーは疑念を抱く。
一方レナは、10歳も年下の男子学生イーサン・グリーンに付き纏われていた。イーサンは17歳のとき、暴行で逮捕されていた。現在、仮釈放中だった。
やがて、シェイファーの死は自殺に偽装された他殺と判明する。
そして男子学生ウィリアム・ディクソンが、学生寮の自室で首吊り自殺した。
ジェフリーとサラは、被害者たちの結びつきを見つけようとするが・・・

<感想>
衝撃的なシーンで幕が開き、読者の好奇心を鷲掴みにする。
ジェフリーとサラの自責の念、レナの心の深い傷など、主要人物3人の心理状態を丁寧に描きつつ、事件が立て続けに起こる展開になっており、読み出したら止められない。
固い絆で結ばれた家族と歪んだ関係の家族、虐待者に欺かれる強い女性、アルコールとドラッグ中毒などを描いた、凄く面白いミステリだと思う。
しかし、意外性はないな。
2022年初夏にカリン・スローターの最新作『False Witness』が邦訳出版されるそうだ。楽しみでならない。
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posted by ももた at 09:19| 東京 ☀| Comment(0) | ミステリ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
読んだ本の紹介と感想、評価を書きました。