橘明美 訳 「TROIS JOURS ET UNE VIE」
<あらすじ>
1999年12月末、成績優秀な12歳の少年アントワーヌは、隣家の6歳の男の子レミ・デスメットを枝で殴って殺してしまう。殺意などなく、一緒に遊んでいた犬がレミの父に銃殺されて、激怒のあまり弾みで起きたことだった。
レミの死体を倒壊した巨木の下の穴に隠して家に戻ると、小さな村はレミの行方が分からず大騒ぎになっていた。アントワーヌは、腕時計を失くしたことに気付くが、現場に引き返せない。
警察が出動し、捜索が始まり、県の誘拐警報が発令された。地元テレビ局もやって来て、小さな村は大混乱に陥る。警察に目撃情報を求められたアントワーヌは、作り話を繰り返し語るうちにそれが真実だと思い始めた。
噂が村を駆け巡り、村人数人が容疑者として挙がり、逮捕者まで出る。アントワーヌは罪が露見する恐怖に怯え、事の重大さに打ちのめされる。
アントワーヌの人生は、たった数秒で狂ってしまった・・・
<感想>
事件の背景と事件後の騒動、村全体を襲った暴風雨災害の様子、母親思いの息子アントワーヌの心理状態などを軽快な筆致で描き、少しの皮肉とユーモアが相俟って面白く読ませる。
そして、著者が最期に仕掛けた爆弾は思いがけないものだった。とても面白いサスペンス小説だと思う。
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