アンデシュ・ルースルンド 著
清水由貴子/喜多代恵理子 訳 「Tre Timmar」
<あらすじ>
ストックホルム南病院の解剖技術者ラウラが、遺体安置所に死亡診断書も記録もない身元不明の男性の死体が紛れ込んでいるのを発見した。
警察の検死の結果、男性の死因は窒息死、西アフリカ出身と判明するも、身元を特定する手掛かりは掴めない。遺体から粉末消火器の主成分であるリン酸アンモニウムが検出されるが、遺体には火に近づいたことを示す形跡がなかった。
グレーンス警部がこの奇妙な事件の捜査を始めると、またしてもラウラが遺体安置所で余分な死体を発見する。死因は窒息及び呼吸困難によるパニック発作。この身元不明の若い女性の遺体にも外傷はなかったが、リン酸アンモニウムが検出された。
ストックホルム南病院は、地下道の上に位置していた。グレーンス警部は、遺体が地下道から運び込まれたと見立て、警察犬を使って追跡し、西アフリカの難民の遺体が大量に詰まったコンテナを発見する。
さらに聖ヨーラン病院でも、登録されている遺体の数より3体余分にあると判る。
そして、コンテナで発見された衛星電話の指紋が、元潜入捜査員ピート・ホフマン・コズロウの指紋と一致する。
ピート・ホフマンは現在、国連の委託を受けた民間警備会社の食糧輸送隊の警備員として働き、スウェーデンとアフリカを行き来していた。衛星電話は彼が難民カップルに与えていた。
グレーンス警部は、ストックホルムの大量殺人事件を解明すべく、ニジェールの首都ニアメへ飛ぶ。スウェーデンで難民ビジネスの窓口になっている人物を捕えるため、ピート・ホフマンを密航組織の潜入捜査に駆り出すが・・・
<感想>
グレーンス警部は64歳。これまで孤狼のイメージが強かったが、上司や部下も良き理解者となっている。また、ホフマン家の兄弟との交流もあり、彼は家族の温もりを知る。
一方ピート・ホフマンは、前作と同じ役回り。懲りない男だな。いつか命を落とすのではと心配になる。
黒幕の正体に驚きはないけれど、終盤はスリルとサスペンスに富んだ展開になっており、とても面白い北欧警察ミステリだと思う。続編『Jamahonleva Sovsagott』が楽しみでならない。
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