2021年06月03日

一度きりの大泉の話

萩尾望都 著

<内容>
「前書き(そもそものきっかけ)」  「1.出会いのこと/1969年〜1970年」
「2.大泉のはじまり/1970年10月」  「3.竹宮惠子先生のこと」
「4.増山さんと「少年愛」」  「5.『悲しみの天使(寄宿舎)』」
「6.『11月のギムナジウム』」  「7.1971年〜1972年 ささやななえこさんを訪ねる」
「8.1972年『ポーの一族』」  「9.海外旅行 1972年9月」
「10.下井草の話 1972年11月末〜1973年4月末頃」  「11.『小鳥の巣』を描く 1973年2月〜3月」
「12.縁深い田舎」  「13.引っ越し当日 1973年5月末頃」
「14.田舎と英国 1973年」  「マンガ『ハワードさんの新聞広告』」
「15.帰国 1974年」  「16.『トーマの心臓』連載 1974年」
「17.『ポーの一族』第1巻 1974年」  「18.オリジナルであろうと、原作ものであろうと」
「19.アシスタントをお断りした話」  「20.城章子さん、怒る 1975年」
「21.−嫉妬−「少女漫画革命」に邪魔な存在とは?」  「22.排他的独占愛」
「23.鐘を鳴らす人」  「24.BLの時代」
「25.それから時が過ぎる 1974年〜2017年」  「26.1974年〜2017年の大きな出来事は」
「27.佐藤史生さんの幸福な時間」  「28.大泉サロン?知りませんが。」
「29.お付き合いがありません」  「後書き(静かに暮らすために)」
「萩尾望都が萩尾望都であるために/城章子」

<感想>
本書を丸ごと一冊使って、これまで誰にも話さなかった大泉サロン解散の経緯と、未だに竹宮惠子先生と交流が無い事情などを、丁寧に説明している。
当時、竹宮先生は、編集部にもファンが沢山いた人気者で、有能な巻頭作家だった。一方、萩尾先生は、読者アンケートの人気が取れなくて、次の仕事をくださいと頼み込んでいた巻末作家だったとか、盗作疑惑があったことも知らなかったが、一連の出来事で萩尾先生が深く傷付いたことは理解できた。
しかし、竹宮先生は御自分の非を認め、手紙を添えて自伝本を贈呈し、対談も了承している。50年に及ぶ不自然な関係の改善を望まれていると思う。
それに対して萩尾先生は、手紙も読まずに贈呈本を突き返し、永久絶交宣言とも受け取れる本書を執筆した。
他人事だし、ご高齢でもあるし、好きになされば宜しいと思うが、おふたりが描くマンガのジャンルが重なっても、別物として楽しんできたファンとしては悲しいかな。
満足度 4.gif



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『11月のギムナジウム』 『ポーの一族 第3巻(小鳥の巣)』 『トーマの心臓』
  

竹宮惠子『扉はひらく いくたびも』  『地球へ…』  『天馬の血族』
  


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posted by ももた at 09:53| 東京 ☁| Comment(0) | ノンフィクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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