2021年05月28日

燃える川

ピーター・ヘラー 著
上野元美 訳 「THE RIVER」

<あらすじ>
8月下旬、カナダ北東部の原野。ダートマス大学へ通う冒険と読書が好きな親友同士のジャックとウィンは、川のように繋がった湖を順に巡ってカヌー旅行を楽しんでいた。
ところが、山火事を目撃する。彼等は無線機も衛星電話も持っていないから、誰にも連絡できなかった。
その翌日、酔っぱらった男2人のキャンプを見つけ、警告するも無視された。
山火事を確認してから3日目、深い朝霧の中で怒鳴り合う男女の声を耳にする。火事の注意を促すためにキャンプ地を探すが、見つけられなかった。
その翌日、妻のマイアを見失いショック状態に見える負傷した男・ピエールと遭遇する。ジャックとウィンはキャンプ用品一式を持ち、マイアを探しに湖へ戻った。そして、重傷を負い話す体力もないマイアを発見して保護する。
キャンプに戻ると、ピエールは食料と彼らの用具を捨てて行方を晦ましていた。楽しみにしていた旅行の流れが変わり、雲行きが怪しくなる。
男の襲撃と大規模な森林火災が迫り来る中、ジャックとウィンは安静を必要とするマイアを連れ、生き延びるために闘うが・・・

<感想>
大自然の景観描写が素晴らしい。タフでハンターの鋭い目を持ち、緊急事態になると指揮官モードになるジャックと、急流下りの豊富な経験があって心優しいウィン。信頼し合う青年2人の友情と絆も素敵だ。
そして、移動する動物と飛び立つ鳥たちに爆発する木、激流とカヌーの転覆、フラッシュオーバーと火炙りになる恐怖など、スリルとサスペンスに富んだ展開になっている。
ジャックとウィン、それぞれの家族のエピソードも相俟って、凄く面白い冒険ミステリだと思う。
だけど、ハッピーエンドにして欲しかったな。読了後、切なくて胸が痛くなった。
満足度 5.gif



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posted by ももた at 08:51| 東京 ☀| Comment(0) | ミステリ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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