ヨーコ・カワシマ・ワトキンズ 著&監訳
都竹恵子 訳 「My Brother,MySister,and I」
<あらすじ>
1945年11月19日に母が亡くなって約2年、川嶋擁子は13歳と6カ月になっていた。
1946年の春に帰還した兄は人夫仕事、姉は女子専門学校の生徒、擁子は苛められるので大嫌いだった女学校へ通っていた。兄妹は、京都市内にある下駄工場の倉庫の2階の4畳半の部屋に住み、苦しい生活をしていても互いに助け合い励まし合って生きていた。
ところが、工場が火事で全焼し、大事な物を仕舞ってあった風呂敷包みを取りに戻った姉が重傷を負う。焼け出された兄妹は姉の病室で寝泊まりし、兄は人夫仕事と警備員の仕事を掛け持ちしながら入院費を支払う。擁子も、乞食とか浮浪児と蔑まれながらも兄と姉の役に立とうとする。そうした中、次々と難題が降りかかる・・・
<感想>
21歳の兄が家長で、厳格な姉が母親代わり。兄妹は生死不明の父の言葉を胸に、助け合い励まし合いながら殺伐とした戦後の混乱を生き抜いた。その強靭なメンタルに脱帽する。
そして、6年間ものシベリア抑留から戻った父を出迎えたとき、兄妹は深々とお辞儀をして「こんなことになって本当に残念です。お悔み申し上げます。」と母の死を告げている。シベリア抑留についての話はない。
人生訓が散りばめられており、前作『竹林はるか遠く』よりも自伝的小説の色合いが濃い作品だと思う。
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