2021年05月14日

ポーの一族 秘密の花園(1)

萩尾望都 著

<あらすじ>
永遠の時を生きるポーの一族であるエドガーは、自らの手でアランを仲間にし、一族から離れて旅を続けていた。
1888年、イギリスのレスター郊外でアランが体調を崩し、ふたりはアーサー・クエントン卿の館に身を寄せた。
そこへ一族のシルバー・ピーターバラが現れ、エドガーにアランを手放せと迫る。エドガーはアランを守るため、クエントン卿の絵のモデルになるが・・・

<感想>
オリジナルシリーズ「ランプトンは語る」と繋がる物語。絵柄が原作に近いのは嬉しいが、読み切りでないのが難点。
でも、オリジナルを知っている読者としては、『ポーの一族 ユニコーン』よりは受けれ易いかな。
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山田鐘人『葬送のフリーレン1〜4巻セット』  日向夏『薬屋のひとりごと1巻』
   


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ラベル:萩尾望都 星2
posted by ももた at 08:55| 東京 ☀| Comment(0) | コミック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月13日

私の身に起きたこと

とあるウイグル人女性の証言
清水ともみ 著

<内容>
ウイグル人女性ミフリグルトゥルソンさんの証言に基づき、中国によるウイグル人弾圧を告発するノンフィクション漫画。

<感想>
「エジプトで結婚したウイグル人女性ミフリグルトゥルソンさんは、2015年、祖父母に生後45日の三つ子を見せるためにウルムチの空港に到着した直後、赤ん坊と引き離されて当局に拘束された。犯罪を犯した覚えなどないのに、3年間も執拗な尋問と拷問、正体不明の薬を飲まされて注射を打たれ、監視を受け続けた。その理由は、彼女がウイグル人だからだ。」
何んと恐ろしいことだろう。一般人の身に起きた弾圧だけにより一層戦慄する。南モンゴルもチベットも、こうやって支配下に置いたのだろう。香港でさえ、イギリスとの約束を破って呑み込んでしまった。経済力のある人権無視の独裁国家というのは本当に恐ろしいと思った。
満足度 3.gif



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『命懸けの証言』  『ウイグル人に何が起きているのか』
   

『モンゴル最後の王女』 『チベット女戦士アデ』 『台湾を知ると世界が見える』
  


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posted by ももた at 08:42| 東京 ☁| Comment(0) | ノンフィクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月11日

竹林はるか遠く

日本人少女ヨーコの戦争体験記
ヨーコ・カワシマ・ワトキンズ 著&監訳
都竹恵子 訳 「SO FAR FROM THE BAMBOO GROVE」

<内容>
1945年7月29日、朝鮮北部の羅南。当時11歳の川嶋擁子(ようこ)は、真夜中に「ソ連軍がやって来る」と叩き起こされた。満州鉄道で働いている父と動員で弾薬工場にいる兄の淑世(ひでよ・18歳)に置手紙を残し、母と姉の好(こう・16歳)と共に持てるだけの荷物を背負い、村外れの竹林の中に建っている我が家から脱出した。
徒歩で羅南駅へ行き、赤十字列車(傷病兵輸送列車)の女性専用貨車に乗り込み、兄と集合予定の京城駅を目指す。病人の世話をするのは、兄と同じ年頃の衛生兵と看護婦だった。
しばらくして共産軍の兵隊が川嶋一家を捕えようと捜していると判り、母娘は列車から飛び降りた。こうして母娘だけの決死の朝鮮半島逃避行が始まった。
一方、羅南の弾薬工場にいた兄の淑世も共産軍の襲撃に遭うが、級友3人と共に窮地を生き延び、兵士たちに荒らされた家に戻った。
そこら中に死体が散乱するなか、級友3人と共に歩き続け、9月の終わりに港町の元山に辿り着く。淑世はここで仲間たちと別れ、ひとりで京城へ向かうが・・・

<感想>
朝鮮半島引き揚げ体験記である。タイトルの「竹林」とは生まれ育った家、つまり故郷のこと。行くことのできなかった青森の母の実家への思いも込められているそうだ。
祖国日本への生還を目指す引揚者の過酷な体験と、戦後の労苦を少女の目線で描いており、とても読み易く、生きるか死ぬかの戦いをした10代の青年と少女の逞しさに感動した。
容赦ない襲撃や暴行も掻い潜り、死体の軍服を剥ぎ取って着る、死体の後始末の仕事、残飯で飢えを凌ぐ、駅のベンチで寝る、文房具は同級生が捨てた物、母の死と貧困と苛め等々、胸が痛くなる自伝的小説だが、だからこそこのサバイバルストーリーを後世に残したい。
やったもの勝ちの嫌な世の中になって来たこのコロナ禍に於いて、勇気を貰えるだろう。一読の価値がある本だと思う。
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posted by ももた at 09:11| 東京 ☀| Comment(0) | ノンフィクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
読んだ本の紹介と感想、評価を書きました。