ヨルン・リーエル・ホルスト 著
中谷友紀子 訳 「Det innerste rommet」
カバーイラスト 光嶋フーパイ
<あらすじ>
元国会議員バーナル・クラウセンが、心臓発作で急逝した。クラウセンは妻と息子に先立たれ、孤独の身の上だった。
クラウセンの臨終に立ち会った労働党幹事長ヴァルテル・クロムが、機密文書の有無を確認するため彼の別荘を訪ねたところ、巨額の外国紙幣が詰まった段ボール箱を発見した。
ヴィスティング警部は、ヨハン・オーラヴ・リング検事総長から直々に、政府や政党の上層部も心当たりがないこの不審な大金の出所について調べるよう、極秘任務を命じられた。
ベテラン鑑識員エスペン・モルテンセンと一緒に別荘に赴き、段ボール箱とゲストブックを自宅に持ち帰り、地下室に保管した。札束が詰まった段ボール箱の中には、電話番号のメモ、短いケーブル、製造元の刻印がない鍵も入っていた。
ヴィスティングは、2歳の孫娘アマリエを育てるシングルマザーで、フリーランスの記者となった娘のリーネを捜査チームに加える。
翌朝、クラウセンの別荘が放火され、全焼した。その現場でヴィスティングは、リング検事総長から密告状のコピーを渡された。それは、この付近で22歳の若者シモン・マイエルが消息を絶っており、クラウセンの関与を仄めかす匿名の手紙だった。ヴィスティングたちは、放火の捜査という形で訊きこみ捜査を開始する。
クラウセンが死後に残した巨額の現金の謎を追うが・・・
<感想>
小さな手がかりを追うと、過去の未解決事件が浮上し、ヴィスティングたちはその流れに導かれるように様々な要素を集めて全体像を組み立てて行く。
3人で着手した極秘捜査は放火事件と失踪事件が絡み、複雑な様相を見せ、空港の現金強奪事件の捜査官アウドゥン・トゥーレと、クリポス未解決事件班のアドリアン・スティレルもチームに参加する。
そこからはもう一気にことが動き出し、暴行と脅迫と罠、戦術ゲームに逮捕劇など、スリルとサスペンスに富んだ展開になっており、目が離せない。凄く面白い北欧ミステリだと思う。続編が楽しみでならない。
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