<あらすじ>
2000年7月半ば、国立疾病管理センター職員・阿久津久史が、JR高田馬場駅で電車に飛び込んだ。
2週間後、その凄惨な現場に臨場した警視庁戸山署鑑識係員・工藤智章巡査部長が、若い制服警官・山崎浩司の拳銃を奪い、発砲して重傷を負わせ、拳銃自殺した。
同じ日、阿久津を轢いた運転士の早山郁雄も、錯乱して包丁を振り回した挙げ句、トラックに撥ねられて即死した。
工藤と同期で親友でもある刑事課の永瀬遼巡査部長は、この自殺の連鎖に不審を抱き、コンビを組むベテラン刑事・武井邦夫に訴えるが、騒ぎ立てるなと諭された。
そんなとき、工藤に肩を撃ち抜かれた山崎が、入院先の病院で暴れて14階から飛び降りた。
2カ月後、大手製薬会社社長・西寺信毅宛てに、会社に激震を見舞わせる内容の手紙が届いたが、一度きりで終わった。
ところが3年後、創業者である祖父・西寺喜久雄の名を騙った脅迫状が届く。そこには「赤い砂を償え、遺族に2億ずつ支払うこと。」と書かれていた。西寺社長は、池袋にある探偵社の社長・斉田哲男に調査を依頼する。
1週間後、またしても脅迫状が届き、斉田が錯乱状態でビルから飛び降り自殺した。
その速報を聞いた永瀬は、週刊誌の記事を読み、3年前の自殺の連鎖と関連があると睨む。自責の念に駆られ、独自調査に乗り出すが・・・
<感想>
「赤い砂」とは、感染すると錯乱を起こして激しい自傷行為に走る危険なウイルスのこと。
証拠廃棄、隠蔽や偽装など、何やらニュース報道の裏側を見せられているようで、心がざわつく。このコロナ禍に於いて、興味深いミステリだと思う。
しかし、繰り返しが多く、ストーリー展開も遅い。真犯人の動機も説得力があるとは言い難い。中途半端な終わり方だと思った。
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